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愛のデート券 31
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準決勝も終わって、いよいよ決勝。
決勝はなんと1年生同士だった。
「今年の1年ってすげーな。強すぎるだろ。」
孝太が言うのも無理はない。
今年の1年生は運動神経がずば抜けていい。
とくに、今年のバスケ部なんてほとんどレギュラーが1年生で、おまけに全国に行くほどだ。
しかも、篠原の相手は…
「橘VS 篠原かー。すっげー盛り上がるだろうな。」
得点王の企画を提案した橘だ。
ま、この企画を提案するほどだから、すごく自信があったんだろうけど…
まさか、決勝までくるとは…
「橘んとこのクラスってさ、3年E組に勝ったらしいな。」
「え!?3年E組って確かバスケ部が結構集まってたような…」
「あぁ。でも、まぁ、引退して結構経つからなぁ…。」
「そうだけど…」
「とにかく、1年A組は橘が強いらしい。1人で結構点捕ってるらしいし。これは橘とデートすることを考えてたほうがいいかもなー。」
「ちょっ!!縁起でもないこと言うなよ!!」
「いや、結構本気で言ったんだけど。」
橘とデート…
そんなの考えたくもない。
だって、篠原とだってまだデートって言うデートなんてしてないし…
やることやってんのになー…
「なぁ、あの2人何やってんだ??」
「あの2人って??」
「ほら、篠原と橘だよ。」
孝太が指差すほうを見ると、何か言い合っているようだ。
もしかして…ケンカ!?
そう思って、2人のもとに行こうとしたとき、微かに話し声が聞こえた。
「とにかく、あの人は俺のもんだから。あんたには絶対渡さない。」
「お、俺だって!!おまえみたいな不良なんかに先輩渡してたまるかッ!!」
な、何言ってんだよ、あいつら!!
「愛されてんねー。」
「こ、孝太!?」
ふいに篠原のほうを見ると、あっちもこちらを向いていて。
頬が強張ってしまった。
篠原は大きなため息をこぼしていた。
そんな俺たちを見て、孝太は大爆笑。
「そろそろいいでしょうか??」と言う審判の声に、再びみんな並び直して。
その光景を見て、いよいよ始まるんだなっていう気持ちが高まっていく。
なんだか…こっちまで緊張してきた。
「では今から1年A組と1年E組の試合を始めます。礼ッ!!!」
「「「お願いします!!!」」」
俺は唾をゴクリと飲み込んで。
緊張が高まっていく中、俺の想いをのせた視線を篠原に向けた。
"がんばれ…"という想いを…
篠原柊side
「よっ!!篠原。」
「おまえは…確か、橘…だったよな??」
「あ、覚えてたの??」
「あんな派手に告白してるところ見たら誰だって覚えるだろ。」
「さすが、学年一頭いいやつは記憶力もすげーな。」
試合が始まるということで。
並んでいると、俺の前に並んでいる橘に話しかけられた。
「まさか、篠原があそこまで真剣にクラスマッチに参加するとは思わなかったよ。」
「そうだな。俺もそう思うよ。」
「それってさ…」
人当たりのいい笑顔が一瞬で消える。
「夕貴先輩目当て…かな??」
「そうだって言ったら??」
「ふーん。」
あの笑顔はどこに行ったのやら。
なんか…
「なぁ、なんだよその顔。」
「は!?」
「なんか、すっげー変な顔になってんだけど。」
睨んでるのか、威嚇してるのか。
それでも、俺にはそう思えない。
それくらい変な顔をしている。
おそらく、そういう顔をしたことないんだろうな。
なんか、育ちとかよさそうだし。
「睨むとか威嚇とか。そういう顔できねーならすんなよ。」
「う、うるせーよ!!とにかく!!おまえには絶対先輩はわたさねーからな!!」
「それはこっちの台詞。あの人は俺のもんなんで。」
「はぁ!?どういうことだよ!?」
「そのまんまの意味だけど。あの人は俺のもん。」
「~っ!!誤解すること言うなよ!!!」
「誤解じゃねーよ。本当だから。ま、あんたが信じないなら信じなくてもいいけど。」
「っ!!」
「とにかく、あの人は俺のもんだから。あんたには絶対渡さない。」
「お、俺だって!!おまえみたいな不良なんかに先輩渡してたまるかッ!!」
ただ、話すだけのつもりが。
ここまで大げさになってしまって、周りも呆然としている。
はっとして、先輩のほうを見ると、先輩も苦笑い。
それにはぁ…とため息がこぼれた。
なんなんだよ、こいつは…
「あの、そろそろいいでしょうか??」
審判も苦笑いを浮かべながら、俺と橘の間に入ってくる。
「はい…」
俺が力なく返事すると、橘は何事もなかったように「大丈夫です!!」とやる気満々だ。
なんだろうな、こいつは…
精神的に強すぎる。
手ごわそうだ。
「では、今から1年A組と1年E組の試合を始めます。礼ッ!!」
「「「お願いします!!!」」」
最後の試合が始まった。
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