アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
愛のデート券 33
-
ピピッー!!!
後半戦のはじまりをつげる笛が体育館中に鳴り響く。
俺は手を合わせて。
篠原の勝利を祈るように後半の試合を見ていた。
「篠原柊!!また決めましたッ!!!」
篠原の顔つき、目つきが前半戦のときとは全然違う。
そして、動きも。
篠原と武藤の活躍により、どんどん点差を縮めていく。
そして…
「篠原柊、ゴールッ!!!スリーポイント決めました!!逆転!!ついに逆転です!!」
篠原がスリーポイントを決めて。
とうとう逆転をした。
残り時間はあと3分。
でも、橘も黙ってはいない。
「橘賢太、ダンク!!ダンクです!!!」
橘も負けじと点を入れていく。
もう、ほぼ互角の戦い。
どちらが勝ってもおかしくない。
「残り1分!!1分です!!ただいまの得点は、同点!!どちらが先に点を決めるのかッ!?」
同点…
篠原…
お願い…
勝って…
目をギュッと瞑って祈る。
「夕貴、何か言わなくていいのか??」
「え??」
孝太の言葉に閉じていた目を開けて、その目を孝太に向けた。
「篠原はおまえのためにここまでがんばってきた。そして、今もあのコートの中でがんばってる。最後だぞ。これで決まるんだ。何か言いたいことがあるんじゃないのか??そんな、祈ってるだけじゃ相手になんか届かねーよ。」
「孝太…」
「それに、いつかあいつが言ってたんだ。”先輩のためなら俺はがんばれる。”ってね。」
「っ…」
「がんばってんじゃん、あいつ。不良で、こんなクラスマッチなんか出たくないって思っているあいつが。」
「おっと、篠原柊、橘賢太の守りが堅すぎて突破できないのかッ!?」
「夕貴。」
俺は立ち上がって。
コートの近くまで行って。
大きく口を開いて。
大きく息を吸って。
「篠原ッー!!がんばれッー!!!」
大きな声で。
何度も祈りながら心の中で呟いていたことを声に出して言った。
すると、篠原は一瞬こっちを見て、優しく微笑んで。
コクリと。頷いた。
「何よそ見してんだよ。」
「先輩からの愛のエールを受け取ってただけだよ。」
「はっ、そんな言葉、俺を抜いてから言えよ。」
橘が篠原からボールを奪おうとする。
でも、篠原も負けじとそれをかわす。
「残り、10秒!!」
10、9、8、
「くっ!!」
「行かせるか!!」
7、6、5、4
「先輩は渡さない!!」
その言葉を響かせながら。
残り3秒のところで、橘を抜けないと思ったのか、篠原はその場からシュートをした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 117