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夏休み前の静けさ 01
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クラスマッチも無事終わり。
残すは、授業と終業式のみ。
そして、それが終われば、待ちに待った夏休みだ。
クラスマッチ終了後、新聞には大きく俺と篠原が抱き合った写真が一面に広がっていた。
そして、その紙面には”篠原柊、生徒会長とのデート券を獲得!!会長の気持ちも獲得か!?”という、なんとも意味深なことが書かれていた。
「あの新聞すげーよな。しかも、なにげにきれいに撮れてるし。あれ見て、泣いてるやつもいたぜ??」
「うるさいな…。もう、茶化すなよ。」
「別に茶化してねーって。事実を言ってるだけだ。」
「事実って…」
「つーかさぁ、さっさとバラせばいいだろ。俺は篠原柊と付き合っていて、あの新聞に書いていることは全て事実です。って。」
「そ、そんな簡単に言えるわけないだろ!!」
「なんで。」
「なんでって…」
孝太が、コーヒーを片手に椅子ごと俺のほうに向けて座っている。
「はぁ…。そんなもたもたしてると、篠原捕られるぞ。」
「え??」
「クラスマッチで、篠原人気上昇中だし。モテ期突入なんだよ。」
「も、モテ期!?」
「あぁ。ま、もともと顔はきれいだし。ただ、近寄りがたいってだけだったし。あのクラスマッチで不良だとか、怖いだとか。そういう壁がなくなったからなー。」
モテ期…
確かに、試合中、篠原を見てかっこいいとか抱いて欲しいとか…
そんなことを言っている人はたくさんいた。
でも…
「大丈夫だろ。」
「何を根拠に言ってんだか。」
コーヒーを飲みながら、孝太が呟く。
根拠…か。
確かにないけど…
大丈夫だよ、俺らなら…
「なぁなぁ!!夕貴、孝太!!夏休みどこ行く!?」
「「え??」」
「え、じゃねーよ。文化祭の賞金で夏休みにクラスで遊びに行くって約束しただろ??忘れたのかよー。」
ご機嫌な委員長が、俺と孝太の間に割って入ってきた。
ホント、毎日テンションの高い人だ。
「いや、忘れてないけど。俺はどこでもいいから、みんなで決めてよ。」
「俺も、どこでもいい。」
「えー、つまんねーじゃん、そんなの。なぁ、なんか案出してくれよー。」
「うーん…。夏にしかできないこと、かな…」
「夏にしかできないこと??例えば??」
「プールとか、バーベキューとかか??」
「あ、それいいな、孝太!!それ、みんなに話してきていいか??」
「あぁ。」
「じゃ、決まったらまた連絡するなー!!!」
委員長は手を振りながら、クラスにみんなが集まっている輪の中に入っていった。
「まったく。騒がしい人だな。」
「だね。」
「夕貴も決めなくていいのか??」
「何を??」
「篠原とのデートだよ。」
「あ、あぁ…」
「あぁって。初デートなんだろ??」
「ま、まぁ…。でも、俺予定空いてないし…。」
「は!?」
「だって、孝太とも映画観に行く約束あるだろ??それに、クラスでも遊んだり、地元に戻ったりするからさ。それに、」
「それだ。」
「え??」
「おまえの地元に篠原を連れて行け。」
「はぁ!?」
「どうせ、中学の後輩なんだろ??何も問題ねーだろ。」
「も、問題大有りだよ!!中学は一緒だけど、小学校は違うから、お互いの家も遠いし。」
「そんなの、おまえの家に泊めればいいだろ。」
「はっ!?」
「はい、決定。」
「なっ!!どこが決定だよ!!おい、孝太!!」
孝太は席を立って。
ドアのほうに向かって歩きだした。
でも、すぐにこっちに振り返って。
「昼休み、篠原とちゃーんと話して来いよ??話して来なかったら、話してくるまでこの教室には入れないから。」と。
にっこり満面の笑みで言われた。
悪魔の微笑だ…。
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