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夏休み前の静けさ 03
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ガラッと。
大きな音をたてて、ドアを開ける。
いつもの場所。
空き教室についた俺たちは、いつもの定位置に座るんじゃなくて、教壇のところに並んで座った。
手はまだ握ったまま。
「手、離せよ。」
「なんで??」
「ご飯…食べれないだろ。」
「顔色が悪い理由を話してくれたら離します。」
「っ…」
その言葉に口を閉じて黙り込む。
話したくない。
こんな醜い気持ち。
知られたくない。
「先輩。」
「な、なんでも…ない。」
「なんでもないのにあんな顔するわけないじゃないですか。」
「っ…」
あぁ…
あのとき俺はものすごく醜い顔をしていたんだろう…
なんだか…惨めだ。
「先輩…俺、先輩が好きですよ。」
「っ!!な、なんだよ、急に…。」
「俺の好きって気持ちで、先輩の心の支えになりませか??」
「しの、はら…」
繋いでいる手に篠原の手が重なって。
包み込まれる。
「話したくないなら、無理に話さなくてもいい。でも、またいつか辛いと思うときがくるかもしれない。だから、そのときまた辛い思いをしないように。少しでも先輩の気持ちが軽くなるように。俺が心の支えになりたい。」
篠原のその言葉に。
スッとさっきまでのドロドロした気持ちが少し軽くなる。
そうだ。
篠原は俺と付き合ってるんだから。
俺を好きだと言ってくれてるんだから。
何を不安に思うことがあるんだよ。
そうだよ。
何も不安になることなんてない。
ないんだ…
俯いていた顔を上げて。
まっすぐ篠原を見た。
「篠原、ありがとう…。少し気持ちが軽くなったよ。」
「そうですか。よかった。でも…」
掴んでいた手をグイッと引っ張られて。
篠原の膝の上に倒れ込む。
「な、何!?」
そして、きれいな顔が近づいてきた。
その距離は数十センチ。
もうキスできそうなくらい近い。
「もっと気持ちが軽くなる方法があるんですけど。」
「え…??」
「試してみます??」
なんか…
すごく嫌な予感しかしない。
「い、いや…遠慮しとくよ。」
篠原の胸を押して離れようとすると、腰に腕を回されて、またグイッと引っ張られた。
「先輩に拒否権なんてありませんよ??」
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