アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夏休み前の静けさ 15
-
「いい、の??」
「うん。」
「本当に…??」
「うん…。」
俺の言葉にびっくりしたのか、放心状態の篠原。
こんな篠原見たことないから。
なんだか、おかしい。
「あ、それと俺んちに泊まるってことになるんだけど…いいかな??」
「え!?」
「だって、俺んちからおまえんちまで遠いだろ??おまえの小学校と俺の小学校って遠いから、俺んちとおまえんちも遠いだろうし…。」
「ほ、本当にいいの!?」
「うん。一応、親にも連絡して了承もとったし。」
すると、篠原は急に口を手で押さえて。
俯いてしまった。
やっぱ無理だったかな…??
そうだよな。
急に泊まりのデートなんて…図々しいよな。
「…しい。」
「え??」
俯いたままの篠原が何かを言っている。
でも、あまりにも小さな声で何を言ったのか聞こえなかった。
「ごめん、篠原。何て言ったか聞こえ、」
「うれしい…。」
「っ…」
俯いたままでも見えてしまった。
耳まで真っ赤な篠原の顔が。
そして、うれしいって言った言葉もばっちり俺の耳に入った。
そんなに喜んでもらえるとは思わなくて…。
俺までうれしくなる。
伝染したみたいに俺の顔も真っ赤になった。
「な、なんで先輩まで顔真っ赤になってるんですか!?」
俯いていた顔を上げた篠原が言った。
「お、おまえが顔赤くするからだろ!?」
「っ…。もう!!」
「うわっ!!」
ぎゅっと。
勢いよく抱きつかれた。
篠原のいつもの爽やかな香水の香り。
いい香りだ…。
落ち着く…。安心する…。
すごく心地がいい…。
「ありがとう、先輩。俺のために…。」
「べ、別に…」
「俺、すっげーうれしい…。」
背中に回された腕に力がこもる。
俺もぎゅっと強く抱きしめ返した。
「楽しみだね、夏休み。」
「うん…。」
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
それでも俺たちは抱き合ったまま。
離れることなく、ずっとこのままでいた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 117