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夏休み-水沢家- 03
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誰もいないバスの中。
一番後ろの席で。
バスに揺られながら、俺の住んでいた街に向かう。
窓を見れば、どんどん景色が変わっていく。
懐かしい景色もあれば、こんなの建ってたんだっていう景色もある。
そんな俺は、窓の景色に釘付けになっていた。
すると、シートの上に置いてあった手に、篠原の手が重なった。
びっくりして、目線を窓の景色から篠原に向けると、すごく優しい笑顔をしていた。
「篠原…??」
「今日は本当にありがとね。」
「え??」
「俺、本当は迷惑なんじゃないかなって思ってたんだ。デート券もすっげー嫌そうだったし。」
「そ、それは、橘と孝太が勝手に決めたからで…」
「うん。だから、この話されたとき、本当にうれしかった。デート券あってよかったなって…少し橘や孝太先輩に感謝しちゃった。」
ははっと笑って。
ギュッと。
手に力が込められた。
「楽しい思い出、作ろうね。」
「うん…。」
コテッと。
篠原の肩に自分の頭を預ける。
すると、ふっと笑った篠原も俺の頭に軽く頬を寄せた。
バスの揺れと、窓から差す暖かな日差し。
篠原の温かな手。
そして、少し密着した、服越しから伝わるお互いの体温。
それらにすごく安心して。
眠気に襲われてウトウトする。
すると、それに気づいたのか、俺の頭に篠原の手が回って。
まるで抱き寄せるように、肩に乗ってある俺の頭を一層抱き寄せて。
ポンポンと優しく撫でてくれる。
それに負けた俺は、夢の中に落ちていった。
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