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夏休み-水沢家- 04
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「先輩、先輩!!」
肩を揺すられる。
そして、篠原の声。
「先輩、着きましたよ!!」
「んんっ…」
その声にゆっくりと目を開けると、窓からは懐かしい景色が目に入って。
帰ってきたんだなっていう実感が湧いてきた。
「ごめん、篠原。」
肩に預けていた頭を起こして、背伸びをする。
「爆睡でしてたけど…昨日寝てないんですか??」
「っ!!」
「寝てないんですね…」
はぁ…とため息をついて。
呆れたように言う篠原。
「しょ、しょうがねーだろ!!」
すると、グイッと腕を引っ張られて。
篠原の顔が俺の目の前に。
「それは、俺とのデートが楽しみだったから??」
「っ!!」
「先輩??」
いつも見せる意地悪な笑み。
この笑みを見せられると、なぜか逆らえない。
「そ、そうだよ!!」
「っ…」
顔が熱い…
おそらく真っ赤だ。
スルリと。
篠原の手が俺の頬を撫でる。
そして、ゆっくりと顔が近づいてきた。
「な、何してんだよ!!」
胸を押して。
近づいてくる顔を阻止する。
「何って…キスですけど。」
「はぁ!?」
「さっきので、キスしたくなったので。」
「なっ!!」
「ダメ??」
「っ…」
ダメなんて言えるわけもなく。
黙ったままの俺に了承を得たかのようにまた顔が近づいてくる。
そして、唇が重なろうとしたそのとき…
「お客さーん。終点ですけどー。」
「っ!!」
バス運転手の声に驚いて、思わずバンッと篠原を押しとばしてしまった。
隣で「いってー。」と聞こえるなか、「お客さーん。」と言う、運転手の声も聞こえて。
「お、降ります!!降ります!!」と手を大きく上げて。
鞄を持って、先にバスを降りた。
それに続いて篠原も降りてくる。
「容赦ないっすね、ホント…。」
まだ痛いのか、ぶつけた頭をさすっている。
「ほ、ほら!!もう行くぞっ!!」
俺はなんだか恥ずかしくなって。
少し早歩きがちに自分の家に足を向けた。
後ろでは、「はーい。」と言う、呑気な声と、小走りな足音が聞こえた。
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