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夏休み-水沢家- 08
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「お、俺が悪いだけ、だから…。あいつは別に、何も悪くないんだ…。」
「だから、それはどういうことなのよ。」
腕を組みながら。
壁に体を預けて。
まるで女王様のような態度の理沙に、口を開いた。
「最近、篠原に対しての独占欲がすごくてさ…。こいつは俺のものだから、話すなとか、触るなとか…。でも、そういうこと言えなくて…。」
「どうして??」
「…周りに知られるのが嫌、だから…。」
「は??」
「だからっ!!周りに知られるのが嫌なんだよ!!周りのみんなに俺が篠原と付き合ってるってバレるのが嫌なの!!」
そこまで言って、我に返る。
あまりにも大きな声を出してしまって、篠原たちに聞こえたんじゃないだろうかとヒヤヒヤして、篠原たちを見ると、何事もなかったように、4人で話していて。
それを見て、ほっと胸を撫で下ろした。
理沙は黙ったまま。
俺を見ていた。
でも、目を見ればわかる。
「詳しく教えなさい。」と訴えていることが。
俺は、「はぁ…」とため息をついて、また話始めた。
「あいつらは、こういうことに偏見を持たないって…篠原との昔の話を聞いて、わかったからよかったけど…。俺たちの関係に偏見持つやつもいるだろ??だから…」
「怖い??」
「っ!!」
「世間や周りから偏見の目で見られるのが。怖い??」
「それは…」
「そりゃあ怖いでしょうね。」
「え…??」
「だって、また逃げてるんだもん。」
「逃げ、てる…??」
俺が…??
そんなわけない。
だって、理沙とのことで、もう逃げないって誓ったんだ。
だから…
「逃げてるわよ。周りの目から。世間体から。」
「っ…」
「だいたい、何が怖いの??」
「え…??」
「好きな人と一緒にいれるんだよ??両思いなんだよ??気持ちが通じ合ってるんだよ??それなのに、周りのことばっか気にしてさ。」
「っ…」
「好きな人と一緒にいれる。それだけですごく幸せじゃない。何か不満でもあるの??」
「そんなのないけど…」
ないけど。
それでもやっぱり気にしてしまう。
周りがどう思っているのか。
どういう目で俺たちのことを見てるのか。
「あたし、バカだから。上手く言えないけどさ、周りの目なんか気にしないくらい…周りにどう思われようと関係ないくらい…お互いに好きって気持ちがあれば、大丈夫だと思うけどね。」
「理沙…」
理沙からそんな言葉を聞ける日がくるなんて思わなかった…
「いって!!何すんだよ!!」
バシッと。
なぜか理沙に頭を叩かれる。
「それを教えてくれたのはあんたでしょ!!」
「え…??」
「好きって気持ちの大切さ。好きな人に当たる嫉妬。一緒にいれるだけでどれだけ幸せか…。まだいっぱいあるけど…それを教えてくれたのはあんたたちなのよ!?」
「り、さ…」
「堂々としててよ。周りなんて関係ない。世間なんて関係ない。敵に回してもいい。篠原がいるなら。どんなふうに思われても、どんなふうに見られても構わない。それくらい…言いなさいよ。」
「っ…」
「でなきゃ、あたしが夕貴を諦めた意味がないじゃないッ!!」
理沙の言葉がグサリと。
俺の胸に突き刺さった。
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