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夏休み-水沢家- 09
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「おいおい、どうしたんだよ。大きな声出して。」
理沙の大きな声に違和感を持った4人が俺たちのところに駆け寄る。
「あ、もしかして…また夕貴に何かしたんじゃないだろうな!?」
「違うわよ!!逆よ、逆ッ!!」
「じゃあ…え、夕貴が理沙に何かしたのかよ!!」
「ちげーって!!なんでそうなるんだよッ!!」
俺と理沙の言葉に「じゃあ、どういうことだよー。」と頭を抱えているマサ。
「もうなんでもないからッ!!行くわよ。」
「えー、どうせなら、夕貴たちも遊ぼうよ!!」
「ダメだって、愛美。あの2人はデートに来てるんだから。」
「あ、そっか!!じゃあ、邪魔したら悪いね!!」
「そうそう!!」
「じゃあねー、お二人さん!!」
話は俺たちが口を挟む前に進んでいって。
4人は俺たちに手を振りながら、どこかに歩いていった。
「じゃあ…俺たちも行きますか。」
「そうだな。」
俺たちも、家に向けてまた歩きだそうとしたとき。
「夕貴ッ!!」という聞き慣れた声がして。
振り向くと、3人はもうどこかに行っていて。
理沙だけがそこにいた。
「逃げるんじゃないわよッ!!負けるんじゃないわよッ!!」
「理沙…」
「もし、逃げて…負けるようなことがあれば、あたし一生許さないからッ!!」
それだけ言い残して。
理沙はマサたちのところに行ってしまった。
「何のこと??」
俺と理沙の話を聞いていない篠原は首を傾げていた。
「いや、なんでもない。こっちの話だよ。」
「ふーん。でもさ、よかったね。理沙さんと普通に話せるようになって。」
ニコッと。
優しく微笑む篠原。
「うん。」
その笑顔に、理沙の言葉が重なった。
篠原がいるなら…か。
俺だってそう思ってた。
でも、付き合ってからは、悩みがつきなくて…
不安に、嫉妬に、周りの目や世間体に、今にも押しつぶされそうで…
あのときはあんなに幸せだったのに…
どうして、こんなことになったんだろう…
どうして、こんな思いをしないといけないんだろう…
どうして…
「先輩??」
「っ!!え、何??」
篠原の手がポンッと肩に乗って。
びっくりして、体がビクッと跳ねた。
「どうかしました??」
「え??」
「なんか、ぼーっとしてたので。」
「っ…」
何篠原に心配かけてんだよ。
篠原は何も関係ないだろ…
これは、俺の気持ちの問題で、俺が乗り越えないと意味がないんだから…
「ううん、なんでもない。」
「そうですか??」
「うん。それより、行こっか。母さんたちも待ってるだろうし。」
「そうですね。」
篠原に笑顔を向けて。
また家に向かって2人で並んで歩き出した。
俺はちゃんと笑えてただろうか…??
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