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夏休み-水族館- 01
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まだまだ夏休み真っ只中。
『俺の行きたいところに一緒に行ってくれたら、先輩の行きたいところに一緒に行ってあげる。』と。
篠原と話していたので、今、俺たちは水族館に来ている。
「すっげー!!」
「ホント、きれいですね。」
「だろ!?」
篠原は海に行きたい。
そして、俺は水族館に行きたいということで、なぜか今日、水族館に来ている。
先に海でもよかったんだけど…
「なぁ、篠原。」
「ん??」
「なんで今日、水族館なんだ??」
「え??」
「いや、別に篠原が行きたかった海を先に行ってもよかったのになーって思って。」
「海はいつでも行けますから。」
「え??まぁ…そうだけど。」
水族館もいつでも行けると思うんだけど…
「じゃあ、先輩はどうして水族館に??」
「え、あぁ…ここの水族館、昔家族でよく行ってたんだ。」
「そうなんですか。」
「うん。だから、帰ってくるなら、久々に行きたいなって。それに、おまえとも行きたかったから。」
「っ…」
すると、手が何か温かいものに包まれる。
「え…??」
手に視線を向けると、俺は篠原と手を繋いでいた。
「あ、あの…篠原。こんなとこ見られたら…」
「そういうと思って、これ持ってきたんです。」
「え??」
篠原が鞄から取り出したものは…
「ストール…??」
篠原はそのストールを繋がれた手に器用に巻いていく。
繋いだ手が見えないように…
まるで、2人で1つのストールを持っているみたいに見えるように…
でも、しっかりと手は繋がっていて…
「ごめん…」
「ん??何が??」
「いや…」
器用に巻かれるストールを見ながら、何度も心の中で謝り続けた。
「そんな顔しないでくださいよ。」
ストールを巻き終えて。
その手が伸びてきて、俺の頬に触れる。
「やっと2人きりになれたんですよ??」
そう。
あれからというもの、兄ちゃんがことごとく邪魔をしてきて…
家に帰ってきてから2人きりの時間がなかった。
そして、今日も。
兄ちゃんが起きる前に出掛けようとしてきたが、気づかれて…
なんとか、母さんたちの協力もあって、2人きりで出掛けることができた。
「だから、楽しみましょうよ。」
俺の顔を見て、優しく微笑んで。
「ねっ??」と少し首を傾げる篠原。
俺は、「うん。」と答えて。
ストールの下に隠されている繋がれた手をさらにぎゅっと強く繋いだ。
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