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夏休み-水族館- 04
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「先輩、すみません。引っ張っちゃって。手痛くないですか??」
「え、あ、平気。」
するりとストールが外されて。
繋いでいた手も離れる。
あれから、篠原に引っ張られるがままに歩いてきて。
来た場所は水族館の最上階。
屋上みたいなところだ。
「でも、この水族館にこんなとこあったなんて知らなかったなー。」
フェンスに手を乗せて。
屋上から見る俺が育った街。
まだ明るいからなんとも言えないけど…
たくさん並ぶ家を見て、心がすごく温かく感じる。
「あのさ、篠原。」
「ん??」
篠原も俺の隣に来て。
同じようにフェンスに手を乗せて。
街を見渡した。
「さっきはごめん…。」
「あぁ…。先輩ってああいうの断れないタイプなんですね。」
「え??」
「だって、文化祭のときも。あんな感じで迫られてたし。」
「うぅ…」
「なんか、ほっとけない。見てて危なっかしいし。」
「ホントごめん…」
なんだか、自分がすごく情けない。
男なのに…
あれくらい、すぐに断ればいいのに…
ホント、情けないな…
「でも、そういう先輩が好きです。」
「え…」
「そういうほっとけない先輩が好きなんです。」
「えっと…」
「俺に守られる先輩が好き。」
「っ…」
俺のほうを見て。
目が合って。
笑顔でそう言われて。
心臓が飛び出そうなくらいドキドキしてる。
「や、やだよ。守られるとか…。自分のことくらい自分で守れるようになりたい。」
「だーめっ。」
「な、なんでだよ!!」
「だって…」
グイッと。
腕を引っ張られて。
きれいな顔が近づいてきて。
「そんなの、先輩じゃないから。」
「え…」
「俺は、強い先輩より、今の弱い先輩のほうが好き。」
ドキッと心臓が飛び跳ねる。
なんなんだろうな…
デート、だからかな…
それとも…
俺がこいつにハマってるから…かな。
いつの間にか、こんなに好きになってたんだな…
「よ、弱いって…」
「先輩は俺が守りますから。変わらないで…。そのまま…そのままのきれいな心のままの先輩でいてください。」
額と額がコツッと当たって。
より顔が近くなる。
あぁ…
触りたい。
触れたい。
キスがしたい。
「恋って怖いな…」
「え??」
こんなにハマってるなんて…
こんなに好きになってるなんて…
「ホント、怖い…」
「あの、先輩??…んっ!?」
篠原の頬を手で包んで。
俺から。
篠原の唇に自分の唇を重ねた。
触れるだけのキスをした。
「せ、先輩!?」
唇を離して。
篠原を見る。
案の定顔は真っ赤だ。
なんか、すごくあたふたしてるし…
「かわいいとこもあんだな、おまえって。」
「は、はぁ!?」
「な、何言ってんですか!?」と。
またあたふたし始める。
ホントかわいい。
「んっ!?」
篠原がかわいくて…
あたふたしているのがおかしくて笑っていると、次は篠原から。
触れるだけのキスをされた。
「なっ!!」
「お返し。」
「先輩もかわいいですよ。」と。
いじわるな笑顔で言われた。
「なっ!!篠原、おまえッ!!」
「はははっ!!」
篠原といると、ホント楽しい。
ずっとあの大きな水槽を眺めているみたいに。
ずっと一緒にいれる存在。
「先輩、もうすぐイルカのショーが始まるみたいだから!!行きましょっか!!」
手を差し出されて。
俺はその手を繋いで。
その上からまたストールで巻かれる。
「俺、いい席じゃないと嫌だからな。」
「わかってますって。」
2人で手を繋いで。
お互いの体温を手で感じながら。
イルカのショーに向かった。
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