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夏休み-水族館- 09
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「ねぇ、先輩。」
「ん??」
額をくっつけたまま。
両手を握ったまま。
息が顔にかかるのを感じて。
顔が近くて、恥ずかしくて…
少し顔が赤くなるのを感じながら。
2人で目を見合わせて、微笑んで、話す。
「知ってる??このイベントの続き。」
「え??」
「このイベントで永遠の愛を誓い合ったあと、鐘の音とともに誓いのキスをしないといけないんだって。」
「え!?」
「だから、恋のアクアマリンの意味が海の中の結婚式なんだって。」
恋のアクアマリンの意味は知ってたけど、そんなこともするなんて…
初めて知った。
「なんか、結婚式じゃん、それ。」
「ははっ!!ホント、意味のまんま。結婚式みたいだよね。」
結婚式…
俺たち同性愛者には出来ない、夢のような言葉だ。
「でも、俺たちじゃ出来ない…よね。」
「え??」
「だって、日本では同性愛者での結婚は認めてないから。出来ないよね、結婚式。」
思っていた言葉を口にするとあまりにも残酷で。
とても辛かった。
泣きたくなるくらい辛かった。
「先輩…」
すると、ふわりと篠原の爽やかな香水の香りがする。
俺は、グイッと掴まれている手を引っ張られて。
そのまま篠原の胸の中に飛び込んだ。
そして、篠原の腕が俺の背中に回って。
優しくそっと…
でも、力強くぎゅっと抱きしめた。
「出来るよ、結婚式。」
「え??」
「確かに、同性愛者での結婚は認められてないけど。でも、婚姻届がなくったって、2人が愛し合っていれば、結婚なんて出来る。出来るんだよ…。」
「しの、はら…」
「今はまだ俺たちは子供で…結婚式なんて出来るわけじゃないけど。でも、永遠の愛は誓える。結婚式みたいに。」
「っ…」
「俺との永遠の愛…誓ってくれますか??」
「…誓うよ。篠原との永遠の愛を…誓います。」
「じゃあ、次は先輩が俺に聞いて??」
「え…??」
「結婚式の言葉みたいに。聞いて…。」
「っ…。し、篠原は、俺との永遠の愛を…誓ってくれますか??」
「はい。誓います。」
耳元で誓われた永遠の愛。
結婚式なんて出来ないけど…
まだ子供だから結婚なんて出来ないけど…
でも、まるで結婚式のようで…
なんだか、今までよりもっと深く強く…
繋がれた気がした。
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