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夏休み-海- 16
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あのあと、俺たちは顔を見合わせて、引き合わせるように唇が重なって。
唇を離すと、今までにないくらい柔らかい笑顔で俺を見ていて。
篠原のそんな笑顔を見ると、俺も自然と頬が緩んだ。
そして…
「戻ろっか。お兄さんたち、心配してると思うから。」
「うん。」
俺は浮き輪に乗って、しがみついて。
篠原に浮き輪を引っ張ってもらって。
海を出る。
そして、母さんたちのいるところまで2人並んで歩いていった。
「遅いっ!!」
「ご、ごめん…」
「おーそーいーっ!!」
「だから、ごめんって!!」
そして、母さんたちのところに戻った頃にはもうとっくに12時は過ぎていて。
ネチネチ兄ちゃんから「遅いっ!!」と、連呼された。
でも、兄ちゃんと遊べばすぐに機嫌も治って。
俺たちは楽しい海の時間を満喫した。
―――― ―― ―
「もう帰っちゃうの??もう少しゆっくりしていけばいいのに。」
「そうしたいのは山々なんだけど…。俺、明後日から生徒会の仕事が入ってるんだ。」
「そう。」
「夕貴、帰るなよー。兄ちゃん寂しいよ…。ま、篠原はさっさと帰ってもいいけどな!!」
「兄ちゃん…。」
「俺は、絶対先輩を置いて帰りません。つーか、必ずお持ち帰りさせていただきます。」
「なっ!?」
「ちょ、篠原まで…!!」
「ホント、賑やかで楽しいわー。」
「母さん!!」
夏休みを機会に篠原を連れて帰省して。
いろんなことがあったけど、やっぱり思い浮かんでくるのは、楽しい思い出ばかり。
そんな楽しい帰省も今日で終わり。
明日には、明後日の生徒会の仕事のため、学校の寮に帰る。
そして、今俺と篠原は明日のために帰る用意をしていた。
「ホント、寂しくなるわねー。」
「また帰ってくるから。」
「そう??」
「うん。」
「じゃあ、そのときは、柊くんもお願いね!!」
「はいはい。」
この帰省ですっかり篠原を気に入ってしまった母さん。
まぁ…、嫌われるよりは気に入ってもらえたほうがいいし、うれしいけど。
「あれ??篠原は??」
そういえばと思って、周りを見渡すと、さっきまで隣にいた篠原の姿が見えない。
「さっき瑛太に連れて行かれてたわよ??」
「また??…ったく。」
俺は立ち上がって、兄ちゃんと篠原の方に足を向けた。
が、母さんの手が俺の腕を掴んで制された。
「母さん??」
「2人で話をさせてあげなさい。」
「え??」
「夕貴がいると、どうしても本音で話せないところとかあるから。2人きりで話をさせましょう。」
ね??、と。
首を傾けて、優しく微笑んで。
俺は、その笑顔につられて、そうだね、と。
笑顔でそう答えた。
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