アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夏休み-海- 18
-
「いつまで話してるんだろう…。またケンカとかやってんのかな…??」
あれから、母さんに止められたので、俺は母さんと話しながらせっせと荷物の整理をしていた。
その間にあの2人が帰ってくるだろう、と思いながら。
でも、あの2人は未だに部屋にこもったきり、全然出て来ない。
それで、心配になった俺は、様子を見に来たんだ、けど…
「父さん??」
兄ちゃんの部屋のドアに聞き耳をたてている父さんがいた。
「ゆ、夕貴!?」
「何やってんの、そんなとこで。」
俺は、父さんのところまで駆け寄り、兄ちゃんたちに聞こえないように、小さな声で話す。
「瑛太と柊くんがこの中に入っていくのを見てねー。ケンカしてたら、ってちょっと心配になって。」
「と、父さんもなんだ…。」
「夕貴も??」
「う、うん。2人で部屋に行ったきり全然出て来ないから。ケンカになってるんじゃないかって。」
「そっか。」
「うん。」
「でも、その心配はないみたいだよ。」
「え??」
父さんが兄ちゃんの部屋を指差す。
中の話を聞けってことだろうか…??
俺はさっき父さんがしてたみたいに聞き耳をたてた。
すると、微かだが中の声が聞こえてきた。
「水族館から帰ってきたとき母さんが言ってたから、知ってると思うけど…あいつさ、今でも俺たち家族に迷惑かけたと思ってて。罪悪感と罪滅ぼしであの学園に入って、成績は常にトップ。おまけに生徒会長だ。」
兄ちゃん…。
まだそんなこと思ってたのか…
確かに、家族にはたくさん迷惑をかけた。
だから、高校ではがんばろうって、あの学園ではがんばろうって、そう思った。
でも、そんなこと思ってたのは最初だけで、生徒会の仕事や勉強とか。
あの学園で過ごしていくうちにそれがとても充実して。楽しくて。
だから、がんばってるだけなのに…
「瑛太もそう思ってたんだな。」
「え、兄ちゃんもって…もしかして父さんも!?」
「…あぁ。」
隣で俺と同じく聞き耳をたてている父さんはひどく悲しそうだった。
「だから、それは、」
「しー。夕貴、静かに。」
口元に指を立てて、"静かに"とポーズをとる。
俺はそれにつられて口を噤む。
そしてまた、話し声が聞こえてきた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
96 / 117