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素直になれないキモチ 02
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「あちー…」
「おまえ、そればっか言うなよ…。」
「だって、暑いんだもん!!」
ただいま、このくそ暑い中、体育祭の練習をしています。
各軍に分かれて、それぞれの競技の練習や応援の練習をしている。
そして、隣では祐介が暑い暑いと呪文のように言っている。
俺の目の前では篠原と武藤たちがじゃれ合いながら遊んで、孝太はリーダーシップがあるから、いろいろと指示を出したり、話し合いをしたりしている。
それにしても…
「なんか、俺らの軍ってぐだぐだだな。」
他の軍は結構まとまりがあって、みんな熱心に練習してるけど、俺らの軍はそれが全くない。
「まぁなー。でも、この暑さじゃ練習する気なんて起きねーよ。」
「そうだけど…。」
まぁ、俺も人のこと言えないんだけどさー。
だって、現に座ってぐーたらしてるし。
すると、先輩たちと話していた孝太が帰ってきた。
「何だらだらしてんだよ。」
「おー、孝太!!おかえりー。」
「おかえりーじゃねーよ、祐介。」
「何話してたの??」
「先輩たちと??」
「うん。」
「今後のこと。」
「今後??」
「そっ。今日はとにかくぐーたらしようだって。」
「なんだよ、それ。」
「外の暑さに慣れるためだよ。こんな暑さでおまけに夏休み明けに練習すると、他の軍みたいに倒れるやつがいるからなー。」
「え、もう倒れたやついるのか!?」
「ん??あぁ。結構いるらしい。」
「まじかよ…」
「あぁ。だから、本格的に練習するのは明日から。今日はとにかくこの暑さに慣れろだって。」
でも、孝太が言っていることは、あながち間違いではなかった。
次の日からの練習は確かにきつかったけど、昨日のことがあって、俺らの軍は全然倒れる人が出なかった。
そして、どんどん団結力も深まっていって…
最初の日のぐだぐだ感がまるでウソみたいだ。
そんなこんなで毎日練習をがんばっていって…
「いよいよ明日、か。」
「ですね。」
明日の本番を迎えながら、篠原と一緒にお風呂に入って今日の疲れをとっていた。
篠原の足の間に俺が入って、背を篠原の胸に預ける。
篠原は俺を後ろから抱きしめていて、より体が密着する。
ドクンドクン、と。
篠原の鼓動が伝わってきて、すごく心地いい。
「なんか、今さらって感じがするけどさ。」
「何??」
「先輩って何に出るの??」
「ホント、今さらだな。」
クスクスと笑うと、肩が揺れて、それと同時にお風呂のお湯も小さく揺れた。
「んー、何に出るかな??」
「覚えてないの??」
「なんか、去年はあんま出なかったから、覚えてたけど、今年はいっぱい出ないといけないから、あんま正確には覚えてないなー。あ、でも、ムカデ競争は楽しみかな!!」
「ムカデ出るんだ??」
「うん。篠原は??」
「俺??俺は…あれ、借り物競争が楽しみ。」
「あー、俺も借り物競争出るんだよねー。」
「そうなんですか??」
「うん。本当は出ないつもりだったんだけど、1人足りなくて…。急遽、俺が出ることになったんだ。」
「へー、そうなんですか。」
「うん。」
「でも、借り物競争って、生徒会長っていう紙が混ざってるみたいなんですよね。」
「そうなのか??」
「じゃあ、俺すっげー走らないとじゃん。」と笑いながら言う。
でも、篠原は何も言わない。
顔を見たいけど、抱きしめられてるから、身動きがとれない。
「篠原??」
「俺、引きたいな…」
「え??」
後ろから、ぎゅっと強く抱き締められるのがわかった。
そして、それと同時、より体が密着して。
篠原は、俺の肩に顔を乗せる。
篠原の低くて優しい声が耳元を掠める。
「生徒会長って書かれた紙、引きたい…」
「篠原…」
回された腕を握って。
俺も、篠原って書かれた紙引きたいな…なんて。
恥ずかしすぎて言えないことをふと思った。
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