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【If…】吸血鬼と男 ※R-18
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俺は、吸血鬼のエサだ。
俺の主人は俺に部屋をくれた。エサであるはずの俺に、だ。ベッドでゴロンと横になる。路地裏なんかよりずっと居心地がいいし、主人に吸血されるのも、当たり前のことだがとても嬉しい。
首筋を撫でる。あの牙がぷつりと音をたてて俺の皮膚を突き破る。吸われるごとに多幸感につつまれる。もっとして欲しくなる。
ああ、想像してたら勃ってきちまった。まだ、主人は帰ってきそうにないし、一人で慰めちまおうか。
頭の中は主人でいっぱいで、外気に晒した己の逸物を扱く時も主人にされることだけを考えている。
「ラフル……ぅ、は、あぁ、ラフル……っ!」
「なーに、一人で愉しんじゃってるのかな、トール?」
気づけば、俺を見下ろす主人……ラフルがいて、その目の前で、俺は醜態を晒していた。
「ラフル、お前、帰って」
「ついさっき、ね。ダメでしょ、トール。一人でしちゃ。……それとも、その身体には俺じゃ足りなかった?」
「んな、こと……我慢、出来なくて、ラフルぅ……はやく、欲しい……!血も、吸って、くれよぉっ……!」
「ふふ、トールは欲しがりさんだね」
ラフルの瞳が、輝いたような気がした。至極嬉しそうに俺に覆いかぶさる。
ラフルは俺の首筋に唇を寄せる。ぷつり、と皮膚が破られじゅるじゅると血を吸われ、ゾクゾクしたものが背筋を駆け上がる。頭が真っ白になる。
「俺に吸われただけで、イっちゃったの?恥ずかしいね、トール」
ぺろりと首筋を舐められながら、じっくりと脳内を犯される。俺は随分、酷い顔をしていると、思う。
「欲しがりなトールはこれだけじゃ足りないでしょ?今度は、ここに俺のを突き立ててあげる」
後孔をなぞられ囁かれる言葉。歓喜に身が震える。ああ、俺は、ラフルに必要とされている。ただの餌でも、性欲の処理でもなんでもいい。ただ俺は、ラフルに必要とされたい。俺は、頷いていた。
***
「……っ、ぁ、あぁん!ラフル、ぅ……ぁあ、」
肉がぶつかる音が響く。華奢な体格なくせに、いっぱしの戦士の俺よりもずっと力が強い。俺は、立ったラフルに抱き抱えられ、いわゆる駅弁の体勢で後孔を貫かれていた。ラフルのものが俺を満たし、快楽にあられもない声をあげている。吸血鬼の牙には、媚薬効果があるらしい。それもあって少し揺さぶられるだけでイきっぱなしで多幸感に包まれて頭が真っ白になる。
「かーわいい……」
情欲に掠れた声で耳元で囁かれるだけで絶頂に達してしまいそうなくらい感じている。
「ラフル、っぁ、ラフルぅ…っ!」
「出すよ?っく、受け取って、くれるよね?」
骨が軋むほど強く抱きしめられ、欲望を注ぎ込まれる。
このまま、時が止まってしまえばいいのに。抱きしめられながら、ぼんやりとそんなことを思う。
吸血鬼はほぼ永遠の時を生き、俺はせいぜいあと50年生きられれば儲け物だ。最近目眩がひどく、貧血のような症状を起こしている。遠からず、俺はラフルに吸い殺されて死ぬんだろう。だが、それでもいいかもしれない。俺の全てが、ラフルのものになる。俺が死んでも、ラフルの体内で俺の血が生き続ける。
「……トール。暫く、吸わないから」
「っ……!何で、だよ……!」
俺をベッドに下ろし、そんなことを言うラフルに、どきりとする。
「俺に、飽きたのか?」
「……かもね」
飽きられた。その事実は俺の心臓から脳までじっくりと蝕んでいく。
「俺を、捨てるのか?」
「トールは、捨てられたい?」
自由になるチャンスではあるかもしれない。だが、もう遅いのだ。俺はもう、ラフル無しには生きられない身体にされて、心を侵食されてしまっている。必要とされないというのは耐え難い恐怖だった。捨てられる恐怖は死にをも勝るのだ。
俺はただ、ラフルに縋りついて懇願した。
「捨てるくらいなら、吸い殺して、くれよ……」
「…………。ふふ、大丈夫。捨ても、吸い殺しもしないから。このままずうっと、飼ってあげる。ね?俺だけの、かわいいトール……」
紅い瞳が俺を見つめる。瞳がぼんやりと、光った気がした。
おれは、いったい、なにを、なやんでいたのだろう。おれは、ラフルのえさで、ずっと、かわいがられているのに。こうやって、めをひからせて、なやみをぜんぶ、けしてくれるのに。なにを、なやんで……
「今日はもう、お休み、トール……」
ラフルの声が真っ白になった俺の頭に染み込む。
ラフルの手に優しく頭を撫でられながら、俺は意識を手放した。
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