アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
悪夢
-
殴り飛ばし焼き殺し、敵味方関係なくぶっとばす。頭が痛く、首筋が焼けるように熱い。
全部全部、ぶっ壊してやる。ラフルのいない世界なんぞ、全部壊れてしまえばいい。ラフルを許容できない人間なんか、みんなみんな、死んでしまえばいい……!
ただ一人、ずっと隣で笑ってくれる愛しい人を、俺の全部が欲しいと言ってくれた人を奪ったこの世界を、死んでも許しやしない。
ラフルのよく着ていた服の切れ端をそっと懐にしまい、声が枯れるまで叫んだ。
俺も、すぐに行く。いや、俺みたいな殺人狂はラフルと同じところには行けないかもしれないが。
せめて、同じ土の中で眠ろう。……ラフル。
***
がばっ、と起き上がった。時計を見れば、まだ深夜を指していた。背中にぐっしょりと汗をかいていて気持ち悪い。あわてて、隣を見る。すやすやと気持ち良さそうに、安心したように眠るラフルの姿。
鮮明でリアルで、嫌な夢だった。しかし、有り得る未来でもある。
自分の死よりも何よりも、ラフルを喪うことが怖い。絶対にそんなことはさせないが、もしラフルを喪ってしまったら、俺は夢の通りになってしまうのではないだろうか。何もかもが許せなくて、きっと、狂ってしまう。
こうやって、たびたび俺はラフルを喪う夢を見る。そのたびに夢の中の俺はおかしくなってしまって、全てを壊し尽くす。破壊し尽くす前に死んじまうこともあるし、その前に起きる時もある。
そして横を見て、ラフルがすやすやと寝息をたてて眠っていることに安堵する。こんな俺、かっこ悪くて見せたくねぇし、なにより、そこにラフルがいるということに一番安心する。
頭を撫でてやると、寝ぼけているのか、擦り寄ってくる。まるで猫みたいだ。
「トールぅ、えへへ……うにゅ、そんなに、食べられない……ってば……」
一体、何の夢を見ているのだろうか。幸せそうに俺を呼ぶラフルに、乱れていた心が鎮まるようなそんな気がする。
あの夢は、平和ボケするなということなのかもしれない。まだ、ラフルの元いた組織は潰れていないし、追っ手もラフルを探している。あんな未来を決して起こさないために、ぬるま湯の中でも常に牙を研いでいなければいけない、のかもしれない。
起こさないように、そっと、しかし強くラフルを抱きしめる。
今度こそ、幸せな夢をみたいものだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 21