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The last days-001
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……一体、何処から話したらいいか。
ガキの頃は、所謂ガキ大将してて、よく親に怒られたもんだった。悪戯も沢山したし、けど、弱い奴虐めるようなクソガキは許せなかったな。殴り合いの喧嘩して、親父に拳骨落とされて、お袋に手当してもらいながら怒られた。
「もう、あんたって子は!」
「だってあいつら、大人しくて勉強できる奴ばっかいじめるんだ!そういうの、許せねぇもん!」
「誰に似たんだか、トールは正義感が強い子になったねぇ……」
お袋はなんだかんだ、手当しながらちっと嬉しそうだったんだよな。……だから民を護るためにある騎士団に入りたいと思ったのは、至極当然のことだったのかもしれねぇ。昔から腕っ節には自信があったからよ、さらに磨いて、剣術とか、火薬の扱いとか、色々学んだ。
つっても士官学校とかに行ってた訳じゃねぇんだ。そんな金、うちにはなかったしな。それでも、年に一度の騎士団入団試験を、十五の時から受け始めて、三度目でやっと合格したんだ。俺が十八の時の話だな。
親父もお袋も、そりゃあ喜んでくれたさ。安定した収入も入るし、やっとこれで親父たちに楽させてやれる。そう思ったんだ。
けど、騎士団って奴は、俺が思ってたほどそんなに志の高い連中が集まる場所じゃなかったんだ。
……暇さえあれば賭博に興じてるようなクソ野郎もいるし、上官にゴマ擦って袖の下渡して、階級上げてもらったりよぉ、士官学校出身者のほうがそういうボンクラ多かったんだぜ?笑えるよな。
そんなボンクラと、一緒にされたかねぇし。どうも合わねぇっていうか、向こうも俺のことギゼンシャだって嫌ってたみたいだったし。……いつのまにか一人だったよ、俺は。
別にさみしいとかはなかったんだ。あいつらとつるむくらいならってのはあったし。他の士官学校から以外の奴らは、俺とつるむことであいつらの標的にされることを恐れてたらしい。ま、あいつらも出世したいから、標的になるのは御免だろうしな。そういうのは、俺だけでいい…ってのは、ちっとカッコつけすぎか。
「トール……ほんと、かっこいい」
「んなことねぇよ。昔は、こうだったけど……」
ラフルの目はうっとりとトールを見つめていた。眩しいくらいのまっすぐな、正義感の強さ。
トールのそのまっすぐさが、あの時のラフルを救ったのだ。しかし、トールの目は覇気がなく、声も沈んで行った。
「つらいなら、また今度でもいいんだよ?」
「……いや、お前に、聞いて欲しいんだ。辛くても、お前がいるから耐えられる。だから、聞いてくれ…頼む」
「うん…。無理は、しちゃダメだよ?」
労わるように背中を撫でるラフルにトールはこくりと頷いた。
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