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114.✧旭の勘
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✧✧✧✧
『その先輩との関係って本当に先輩後輩なだけ?』
旭にそう聞かれて、ドキリとした。
『その先輩』が指しているのは絶対に静輝の事だ。
先輩後輩だけど友達のようでもあり、体の関係もあった人。俺が曖昧な関係を持っていた人。
旭が仕事部屋にあった写真をあんな表情で見ていたのは、写っているのが『得体の知れない先輩』だったからなのか。
もしくは他に心当たりがあったからなのか。
どちらにしろ、こうして旭が不安になるのは、どうしても旭の知らない部分の俺がいるからだろう。
俺の知らない旭がいるように、旭の知らない俺もいるんだから。
でも、元セフレだろうが先輩だろうが、今大切なのは間違いなく旭だ。
「静輝とはそういう関係だったけど、俺がいま愛してるのは旭だから」
「……っ…うん………」
「不安にさせてごめん」
「ううん、大丈夫………。話してくれてありがとう、すっきりした」
そう言った旭の顔どこか晴れ晴れとしていた。
今回の旭の悩みも、原因は俺だった。
まあ旭の場合、あれだけツーショットの写真を並べて置けば付き合ってたんじゃないかって勘違いするかもしれないな。写真のせいで旭が嫌な思いをするなら、全部片付けておこう。
でも、付き合ってたかもしれないって考えるのはいいとして、何で初めにセフレがいるかどうか聞いてきたんだろう?
セフレの話の後に静輝の話が出たって事は、静輝のことをセフレだとでも思ってたのか?いや、あながち間違いじゃないけど。静輝とはセフレってだけじゃないからな。どちらかといえば俺の中での静輝は先輩というイメージの方が強い。
「どうして静輝とそういう関係があるって思ったの?写真だけ見れば、普通の関係にしか見えないんだけどなぁ」
「う………、それはその………俺の勘、だよ?」
旭はそっと俺から視線を外すと、襟足をいじりながらそう言った。
勘ねぇ………。
どうやらその仕草は無意識に出てしまうらしい。
不安が一つなくなって気を張っていないからか、旭の嘘をつくときの癖が出ていた。
実際は何がきっかけで静輝のことをそう思ったのか気になるけど。
旭は頑張って言いたい事言ってくれたし今回は旭を不安にさせた俺が悪かったから、旭の勘って事にしといてやろう。
俺はこの時、旭が見た物があんな写真だったなんてまったく想像もしていなかった。
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