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俺が水色の箱から取り出したのは紺色の首輪だった。
はじめは本当に楓さんが犬を飼っていたんだと思ったけど、箱に入ってる他の物は犬には使わないようなものだ。
楓さんは俺から首輪を取り上げると箱の中に入れて蓋をしてしまった。
でも、俺はもう中身をばっちり見ているわけで……。
こういう道具、知ってる。
大学の友達が話してた。
ちょっとアブノーマルなやつだけど、こういうおもちゃでも気持ちよくなれるらしい。
俺はよく分からなくてただ話を聞いてただけだったけど、友達が言っていた『大人のおもちゃ』というものに姿かたちが似ている。
実際に見るのはこれが初めてだ。………いや、前の俺は知ってた、もしかしたら使ったことがあったのかも。
だったら、俺も使ってみたいな、とか考えてしまって。
「全部、前の俺に使ってたやつ?」
思わず楓さんにそう聞いていた。
楓さんは箱を持ったまま、何を言い出すんだとでも言いたげに固まっていたけど、しばらくしてすると箱を床に下ろして蓋を開けた。
中からひとつ取り出して俺に見せてくる。
「言っとくけど、俺が旭に強請られて使ってたやつだからね。つーかお前、これ、何に使うのか知ってるの?」
「………気持ちいいこと?」
友達が言っていたからそう答えると、楓さんは盛大にため息をついた。そして、「まったく、何でそんなこと知ってんだか………」と深刻そうな顔をしてぶつぶつ文句を言っていた。
「大学の友達が、気持ちいいことに使うやつだよ、って………」
「あぁ、友達ね………。今の若い子はすごい会話してるんだね………」
はっきり嫌悪感を表に出しているわけではないけど、楓さんは少し目を細めておもちゃを見ていた。
「楓さんは、こういうおもちゃ嫌いなの?」
「嫌いじゃないけどさー……」
楓さんにしては歯切れが悪い。やっぱり嫌いなんじゃないかな。
「おもちゃなんか使わなくても、旭のこと気持ちよくできる自信あるし。ねえ、俺とのセックスに満足できてない?」
「なっ!?そんなわけ……!」
「そう、ならよかった」
しれっと何でもないように言われて顔に熱が集まる。
楓さんは持っていたおもちゃを箱に戻すと、ガサゴソと箱の中を漁り始めた。
「なに、使ってみたい?」
「え、遠慮しておきます………」
手元を見すぎたせいか楓さんが意地悪な笑顔を俺に向けてそう言った。
ついさっき、あんなことを言われたばかりなのに「使いたい」なんて言えるわけない………。
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