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130.✩混沌
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✩✩✩✩
楓さんにキスをされながら何でこうなったのかを必死に考えていた。
楓さんは淡々と写真のことを聞いてきた。表情もやわらかくなくて怒られているのかと思った。たぶん俺が勝手にあの写真を見ちゃったからだ。
普通ああいう写真は人に見せるものじゃない。もし俺が、楓さんにあんなような写真を見られたら恥ずかしくて顔も合わせられない。
だからあれは他人に見せてはいけないもので、誰かが見ちゃいけないものなんだ。
『この写真、俺より先に見つけてたね?』
さっき楓さんにそう聞かれた。ということは、たぶん楓さんはこの写真を今日見つけたんだ。
いくら偶然だったからといって見てしまったことに変わりはないし、それを楓さんに黙っていたのが悪かったんだと思う。
テーブルに伏せられた写真に写っているものを思い出して気持ちが塞ぐ。
楓さんと一緒に寝ている男の人は静輝さんだ。
写真を見てから話を聞くのと、聞いてから写真を見るのとでは、やっぱりヘコみ具合が違う。
後者の方が、現実というか本当の事なんだって突きつけられてる気がする。
楓さんは写真を見つけたとき、どんな気持ちだったんだろう。
何この写真って驚いたか、何でこの写真がって不思議に思ったのか、それとも…………。
写真の中の静輝さんを見て、懐かしいって昔のことを思い出したのか。
……ああ、嫌だな。また心がモヤモヤしてきた。
ドロドロした嫉妬が瞬く間に心を埋め尽くす。
静輝さんはもう過去の人だって、楓さんの口からも聞いたし理解しているのに。
自分よりも前に、楓さんが愛していた人がいる。
自分よりも先に、楓さんに愛されていた人がいる。
自分の知らない楓さんを知っている人がいる。
嫉妬に染まった心が痛い。
眠っているはずの『自分』が暴れて悲鳴を上げている気がした。
「っふ、ぅうっ……ん、はぁっ……」
口内を犯され反射的にぎゅっとつぶった瞼の横から、涙が一筋流れた。
それに気づいた楓さんがそっと俺から離れ、頬を伝った涙を指で拭ってくれた。
「旭、どうした?」
「ううっ……ふ…うっ……」
優しく問いかけられても首を横に振ることしかできなかった。泣いたって楓さんを困らせるだけなのに。
自分の中でいろいろな感情がぐちゃぐちゃに混ざりあってわけが分からなかった。
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