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137.✧フィーリング
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✧✧✧✧
旭を学校に送り出してから掃除したり洗濯したり溜まった家事を片付けていると、電話がかかってきた。
この前と同じように画面に表示された名前に顔を顰める。
一瞬出ようかどうか迷ってから渋々出ると、やたらとテンションの高い声が頭に響いた。
「なに」
『あ、楓?あのね、帰国するの少しだけ早める事になったから!』
「……………いつ」
『えっとね、今日の十五時ごろにそっちに着くかな〜。だから空港まで迎えに来てくれない?』
「…………」
本気で電話を切ってやろうかと思ったけど、それも今更か………。この人には計画性というものがないんだろうか。毎回前もって言ってた予定より早く来る。
静輝といい桜姉といい、俺の周りには時間にいい加減な人ばかりだ。
『ね〜、いいでしょ?お願い♡』
「……分かったよ………。空港で待ってるから」
『ありがと!ふふ、物わかりのいい弟を持っ――』
今度は本当に切ってやった。
早いうちにゲストルームを掃除しておいて良かった。さてと、迎えに行く支度をしなきゃだな。
桜姉の乗ってる便が着くちょっと前に空港に着いた。到着ロビーで待っていると、しばらくしてからぞろぞろと人が出てきた。
その中に他の女性よりも頭一つ分大きい桜姉を見つけた。
身長高いと見つけやすくて便利だよな、なんて思いながら桜姉のもとへ行く。
海外でモデル活動をしている桜姉は、周りにバレないように変装のためかサングラスをかけてかっこよくキメている。おまけに長い黒髪に抜群のスタイルとルックスに加え、クールでミステリアスな雰囲気を醸し出している。
そんな見た目と掴みどころがなく飾り気のない性格が、向こうの若者に人気らしい。ちなみに俺より二つ年上。
今回帰国したのも日本で撮影があるからとかなんとか……。
「やーん、楓〜!久しぶり〜♡♡」
「わっ………やめろこんなとこで」
勢いよく抱きついてきた桜姉を引き剥がして、荷物を受け取る。桜姉は少し乱れた髪をかきあげて微笑んだ。
「アサくんに会えるの超楽しみだったの!」
「それを旭に言って困らせるなよ……」
桜姉は旭の記憶がなくなったという事を知っている。桜姉だけじゃなくて俺の家族はみんな。
「大丈夫よ!私はアサくんが大好きだからそんな事はしないわ」
「………どうだか」
他愛もない会話をしてマンションに帰ってきた。あと一時間もすれば旭が帰ってくる。
初めのうちは桜姉に戸惑うだろうけど、二人のフィーリングは合うみたいだから心配ないだろう。
そんな事を考えながらゲストルームに桜姉の荷物を置いた後、俺は仕事部屋に篭った。
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