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146.✧家族ぐるみ
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✧✧✧✧
俺の上ですやすやと気持ち良さそうに眠っている旭の髪をそっと撫でる。小さく身動いだ旭は俺の着ているシャツをぎゅっと握った。
体を反転させてシーツに背をつけた旭を見下ろす。うなじから首筋にかけて二つ、鎖骨の辺りに四つ赤い鬱血痕が散らばっている。
それ以外にも背中や腹、太股とか服に隠れて見えない部分にもたくさん付いてる。
さっき風呂で付けたキスマークに、本人は気付いてないだろう。明日、鏡を見てどんな反応をするんだろう。
ちなみに桜姉は、この赤く色付いたキスマークを見てびっくりしたあと、やれやれといった感じで笑っていた。
俺と旭の関係はお互いの家族に話してある。付き合う事になって報告しにも行った。
昔から家族ぐるみで交流のある人たちに、改まって言うのがすごい緊張したのをよく覚えている。
旭の両親からしたら、『大事な一人息子が男となをんて……』と思っただろうし、反対される覚悟はしていた。
だけど、報告に行く前から旭は同性愛者だという事を話していて、『旭が幸せなら…』と結構あっさり認めてくれた。
寛容なのか放任主義なのか……。今だって旭を一人残して海外で生活中だ。仕事が仕事だし海外を飛び回るのは仕方ないんだけど。
俺の方の家族はというと、両親は心底驚いていたようだけど兄や姉たちはそこまでじゃなかった。
『今時珍しくない』とか『女と一緒になって幸せになるとは限らない』とか、まあいろいろと両親を説得するのに協力してくれた。
説得できたのは両親だけだったけど、家族に認めてもらえたのなら充分だった。
なんだかんだ言って桜姉が一番言ってくれてた。だからすごく感謝してる。感謝してるけど、あんまりベタベタ旭に絡まないでほしい、っていうのが本音だ。
旭の寝顔を見ながらそんな事を思い出してると、コンコンと寝室のドアが小さくノックされた。
返事をすると物音を立てないようにそろりと桜姉が顔を覗かせる。
「楓……ちょっと、いいかしら……?」
「起きてるよ。………何か用?」
「ここじゃああれだから……ゲストルーム行きましょ」
「…………」
俺が黙って立ち上がったのを肯定と受け取った桜姉は、無言のまま廊下を歩いて行く。
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