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153.✩偶然
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✩✩✩✩
通り過ぎる人たちをなんとなく眺めながら桜さんを待っていると、俺の前で誰かが立ち止まった。
「あれー、和泉だ」
「よお和泉ー。ちょー偶然じゃん!」
「……わ、誰かと思った。大和と藤野か」
名前を呼ばれて顔を上げると、見知った顔が二つ。
藤野もイツメンの中の一人で、大和とは正反対でチャラチャラしていない真面目な青年だ。何だかんだいって相性がいいのか、性格は正反対だけど結構仲がいいらしい。
いつも休みの日は楓さんと過ごしているから、こうやって友達と会うなんてなかなか無くてすごく新鮮に思えた。こうやって友達と出かけるのも楽しそうだ。ちょっと憧れる。
「休みの日にまで、大和の面倒をみるって大変だね?」
「ほんとだよな。朝イチで大和が『映画に付き合えー!』ってうるさいから、俺は仕方なく、ね」
「藤野だってどうせ暇だったんだからいいだろー!……で、和泉は誰と来てんの?」
「んー?俺はね………」
桜さんのことをなんと説明しようか考えていると、ちょうど店から桜さんが出てきた。モノトーンの大きなショッピングバッグを腕にかけている。
「ごめんね、待たせちゃて。…あら?この人たちは?」
「俺の大学の友達ですよ。こっちが大和で、こっちが藤野」
桜さんから荷物を受け取って大和と藤野を紹介する。いきなり美人が現れたから、二人は驚いているようだった。けれど、桜さんはそんな二人の様子を気にする素振りも見せずに自己紹介を始めた。
「平坂と申します。アサくんとは幼馴染みです。どうぞよろしく〜!」
『平坂』『幼馴染み』という言葉を聞いて、楓さんのことを知っている大和は「ああ!」と納得したようだった。
「なぁ、和泉。この人、もしかして平坂さんの血縁者か何かなのか?」
「うん、楓さんのお姉さん」
「えっ、お姉さん!?」
「あら、楓を知ってるのね!ふふふ、アサくん共々弟をよろしくお願いします〜!」
こっそり耳打ちしてきた大和に隠さずそう告げると、目を丸くして大袈裟なまでに驚いていた。
藤野も楓さんのことを知っているのか「美形の遺伝子って怖いな…」なんて言っていた。
桜さんも交えてしばらくの間話していたら、大和たちが見る映画の開場時刻になった。
「あ、大和、そろそろ開場するっぽい」
「まじ?それじゃまたな、和泉。平坂さんも!」
「うん、またね」
「ばいば〜い!」
映画館の方へと歩いて行く大和たちに別れを告げて、俺と桜さんはちょうどお昼時でお腹も空いたから何か食べようとフードコートに行くことにした。
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