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160.✧脚色
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翌朝、目覚めるとベッドにいるはずの旭がいなかった。いつも俺は朝食を作るために旭より早く起きるんだけど、今日はどういうわけか旭の方が早かったらしい。
眠い目をこすりながらリビングに行くと、寝癖をつけた旭がテーブルに張り付いてせっせと何かを書いていた。
「………旭、こんな朝早くから何してるの」
「あっ、楓さんおはよう。ふふ、ほら、昨日の夜、俺の両親の話ししたでしょ?だから、手紙書いてるとこ」
「……ああ、なるほどね。それはいいとして、寒いから暖房つけてやってればいいのに。体に悪いよ」
「ふふ、ごめんなさい。手紙のことばっかりで、暖房いれるの忘れてた」
いくらラグの上に座っているからといって、冷え込んだ部屋での作業は体に悪い。暖房をつけて、部屋が温まるまで、と寝室からブランケットを持ってきて旭にかけてやると、ふわふわした笑顔で旭が笑った。朝から可愛いやつだ。
「さてと、俺は朝ごはん作るかな」
「そうだ、手紙に楓さんのごはんのことも書こう」
「お前な、変な事は書くなよ?おばさんたちが帰ってきた時に、面倒くさそうだから」
前の旭も手紙で俺の料理の事を書いたらしく、帰国する度に旭の母親が『楓くんの料理、私も食べたいわ!』とか言いだして、これでもかってくらい大量に料理を作らされた。
あの時はしばらくの間、作るのも食べるのも気分が乗らなかったな………。
旭はいったいどんな脚色をしたんだか……。
「おはよう、何やら朝から楽しそうね!」
「桜さん、おはようございます」
「アサくんおはよう~ふふふ、寝癖つけちゃって可愛いわね~」
「わっ、ちょ……桜さ……くるし」
いつの間に起きてきたのか桜姉がリビングに入ってきて、ブランケットごと旭を抱きしめ始めた。
旭から助けて……と言わんばかりの視線を向けられたけど、ブランケットを挟んでの抱擁だから別に構わない。というか、寝起きの桜姉のすることを気にしたら負けだ。
「……旭、朝ごはんができるまでに寝癖直してきなよ。桜姉も、あんまり旭にベタベタしないでね」
「う……、分かった……」
「分かってるってー。ふふ、アサくん、私が寝癖直してあげる~」
本当に分かってるのか……。
桜姉はきゃっきゃとはしゃぎながら旭を連れてリビングから出ていった。
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