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164.✧イライラ
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✧✧✧✧
桜姉が帰ってきてからまともに旭とコミュニケーションが取れていない、と思っているのは俺だけなのか……。
元から旭に関してはそんなに広くない心が、日に日に狭くなってる気がする。旭や桜姉にとってはただ戯れてるだけかもしれないちょっとした行動が、俺をイライラさせる。
今朝だってそうだ。両親へ手紙を書くと言った旭に感動した桜姉が抱きついただけのこと。たったブランケット一枚挟んでいるかいないかで、ここまで心持ちが違うなんて思ってなかった。
桜姉が他の人よりボディタッチが多いことも、海外のノリというもので絡んでくることもとっくに知っているし、旭が桜姉を拒みきれないのは俺の姉だから、っていうことも分かってる。頭では理解しているんだけどな……。
俺が勝手にイライラしてるだけだから、本人たちは悪くないわけで……。
イライラを桜姉にぶつけないように仕事部屋に篭っていると、嫌な事やストレスは仕事で昇華する癖が出て桜姉が帰国する前より作業が捗ってる。
桜姉は家族の中で一番信頼してたはずなのに、その桜姉にさえ旭が絡むとマイナスの感情を持ってしまう。自分の家なのに居場所がないような気がして、それがなんだかおかしくて笑えてきた。
休憩も昼食も取らずに朝からぶっ通しで仕事していたからエネルギー切れでデスクに突っ伏す。お見合いの事でもストレスが溜まってるし、そのせいで寝不足だし……コンディションは最悪だ。
疲れてるからいつも以上にマイナス思考になってるのかな、なんて思っていると部屋のドアがノックされた。
返事をすれば静かに開いたドアから桜姉が顔を覗かせた。お気に入りらしいパステルピンクのトレンチコートを羽織っているからどこかへ出かけるのだろう。
「楓〜、夕飯の買出し行ってくるけど他に何か買ってくるものある〜?」
「あー大丈夫……特にない……」
「……どうしたの?体調でも悪いの?」
「別に……ちょっと疲れただけ」
こういう変化に敏感なところはさすが姉というか…。心配してくれるのはありがたいけど、正直今は…放っておいてほしい。
デスクに突っ伏したままでいると、桜姉は察してくれたのか何も言わずに出て行った。
気持ち的に久しぶりに家に一人になれたからか、睡魔が襲ってきてそのまま眠ってしまった。
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