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167.✧お誘い
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✧✧✧✧
肩を揺すられ目が覚めて、デスクに突っ伏していた体を起こすとすぐそばに旭がいた。いつの間に帰ってきていたのか既に部屋着に着替えている。
「……旭……」
「声かけても起きなかったから……勝手に入ってごめんなさい…」
「いや、いいよ。……おかえり」
「……ふふ、ただいま」
ふわりと微笑む旭を見ていると不思議と心が凪いでいく。振り回されてイライラさせるものが一番の精神安定剤になるのか…。
「今、何時?夕飯作らないと……」
「夕飯なら桜さんが作ってくれてるよ」
「そっか……。じゃあ手伝うかな」
ぐーっと伸びをして体をほぐしてから立ち上がると、隣にいる旭がそわそわし始めた。ただ単に起こしにきただけじゃなさそうだ。
仕事部屋を出てリビングに移動する時もずっとそわそわしながら俺の後ろをついて来て、リビングに着いてからも一向に話し出そうとしないから痺れを切らして聞いてみることにした。
ソファーに腰掛けて自分の隣をぽんぽんと叩くと、旭は素直にそこに座る。
「どうしたの。何かあった?」
「………あの……楓さん」
「ん?」
「あのね、俺……、か、楓さんとデート……したいんだけど……」
「デート?」
予想していなかった言葉に思わず聞き返した。
どうして旭はいきなり、デートとか言い出したんだろう。桜姉か……柚里に何か吹き込まれでもしたのか。
「よく考えたら一度もデートしたことないな、って思って!だから、その……俺とデートしてください……!」
勢いよく頭を下げた旭の頬がしっかりと赤く染まっていたのを俺は見逃さなかった。普段出かける時も俺から誘うから、必死になって俺をデートに誘う旭なんてそうそう見れるものじゃない。
「いいよ、デートしようか」
「っ、本当!?やった、嬉しい!」
だから俺がこの貴重なチャンスを逃すわけがなく二つ返事で応えると、旭は満面の笑みを浮かべて抱きついてきた。
「いつにする?この時期だとクリスマス?旭の学校が休みの時がいいかな?」
「く、クリスマスデート……!」
目をキラキラと輝かせて子供みたいに喜ぶ旭を見てすごく可愛いなあ、なんて癒された。
今朝のことがあったから帰ってきてからもぎくしゃくするんじゃないかって覚悟していたけど、俺も結構単純みたいで旭とのデートに内心わくわくしていた。
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