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170.✧ほどほどに
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✧✧✧✧
昨日デートの約束を取り付けた旭は、朝から機嫌が良くてずっとにこにこしていた。そんな旭を見ているとこっちまで頬が緩んでくるもんだから、昨日とは打って変わって穏やかな朝だった。
「楓ー、出かけてくるわね」
旭を見送ってからしばらくして、着飾った桜姉がダイニングに入ってきた。洗い物をしていた手を止めてどこに行くのかと聞けば、今日明日と泊まり込みで日本での撮影が入っている、と言われた。
そもそも、本来帰国する予定日の二三日前に入っていた仕事をかたっぱしから片付けて前倒しでプライベート帰国したという。
そのせいでここ数日は特に大きな仕事は入っていなくて家にいたけどそれも昨日で終わり、今日からは本格的にこっちでの仕事に取り掛かるらしい。
「送っていこうか?」
「ううん、大丈夫。紺野ちゃんが下まで迎えに来てくれるから」
「じゃあ、下まで行くよ。荷物重いでしょ」
紺野さんは桜姉のマネージャーで俺も何度か会ったことがある。はっきり自分の意見を言うサバサバした女性で、桜姉のモデル活動と海外生活を支えている。桜姉が言う事を聞く貴重な人だ。
俺は桜姉が引いてきたキャリーケースを持って、エレベーターでフロントまで降りた。マンションの外にはもう紺野さんの運転する車が停まっていて、紺野さんは車外に出て電話をしていた。
俺たちに気付いた紺野さんが軽く会釈する。それに会釈を返して桜姉に荷物を渡す。
「それじゃ行ってきます!」
「紺野さんによろしく言っといて」
「はーい!……あっ、そうそう楓!私がいないからってアサくんに変なことしちゃだめよ~?ほどほどにね!」
バチンっとウインクをした桜姉はガラガラとキャリーケースを引っ張って紺野さんの許へ行った。
つか、最後の何……?旭に変なことって……?
「……っ、そういうことかよ……」
そこまで考えて桜姉がやけにニヤニヤしていたのを思い出した。変なこと、ねぇ……。久しぶりに旭と二人だけになる事を考えれば、桜姉だって俺たちが何をしようとするのか予想がつくのだろう。
旭が嫌がらなければ何でもしていいのか、と思ったけど、これに関しては桜姉にとやかく言われる筋合いはない。
旭が帰ってきたら思う存分堪能することに決めて俺は部屋に戻った。
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