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173.✧渋る
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✧✧✧✧
いきなりアルバイトをしたいと言い出した理由は分からないけど、旭にバイトさせるのは気が引けた。
というのも、旭は普通の男性より身長は高いけど細くて華奢に見えるし顔は中性的だし、そういう世界のヤツからしたら魅力的に見えるわけで……。
そういうことを危惧して俺はバイトに反対しているんだけど、残念ながら旭に伝わっていない。
遊ぶ金がほしいなら言ってくれれば与えるし、旭が不自由のない生活を送れるように頑張ってるつもりだ。
ため息をついて閉じていた目をそっと開くと旭が不安そうな顔で俺を見ていた。
「……そんなにバイトしたいの?」
「………うん……」
前の旭が俺に隠れてバイトをしていたことは知ってる。旭のちょっとした変化に気付いて何度も辞めさせてきたけど、反対する理由を旭は納得してくれなくて新しくバイト探して、またそれを辞めさせての繰り返しだった。最終的には俺の紹介した所でバイトする、ってことに落ち着いたけど。
「俺が反対しても?」
「……楓さんが困るなら、やりたいとは思わないけど……」
別に困るわけじゃない。……でも、旭の空いてる時間をバイトに取られるのはちょっとムカつく。
「条件あるけど……それでもやりたい?」
「……条件って?」
「場所と時間、この二つは譲れない」
バイトさせるなら俺が安心できる所じゃないとだめだ。柚里の実家か、俺の知り合いが経営してるカフェ。そこなら時間の交渉もできる。後者は前の旭がバイトしていたところで、確か旭の友達もバイトしていたはずだ。
「場所も時間も、楓さんが許せる所でいいよ」
「……それなら……うん、してもいいよ」
「本当に!?」
「ただし約束は守ってもらうからね」
「もちろん!俺、バイト頑張るね!」
俺の許可がおりて心底嬉しそうにはしゃぐ旭の脇と膝裏に腕を回して立ち上がる。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。咄嗟に俺の首にしがみついた旭をそのまま寝室まで運ぶ。
「えっ、なに、楓さん?」
「頑張るのはバイトだけなの?」
そう言って旭の尻を撫でると、旭はきょとんとした後俺の言わんとしてることを察して、顔を真っ赤にしてぽすぽす殴ってきた。
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