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くしゃみ
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よく、くしゃみをしたとき「あ、誰かに噂されてる。」と言う話題になる。
一回目、二回目……それぞれ意味があったような気がするけれど、俺は覚えていない。
「へっぷし!!」
大学の食堂で、大きなくしゃみが出た。晩御飯をお盆に乗せて歩く学生から、嫌な顔をされる。場所が場所だから、仕方のないこと。
「増村、風邪引いたんじゃないの?」
うどんをお盆に乗せて俺の正面に座った田辺が、呆れたような目をしている。
「へっぷしゅん!」
「あーもう。体育の後、着替えもせずに食堂になんか来るから。」
「それを言うなら、アンタもだろうが。」
寒くて鼻をすすりながら、俺も田辺に言ってやる。
「俺は増村が急かすから着替えられなかっただけ。」
「だって、この後バイトだろ?」
「うん。」
「だから、すぐに食べないと間に合わないだろうが!」
「いや、俺は別にバイト先で食べればいいし。」
「は?」
全くこいつは。
苛立つ俺を見て、焦る田辺。
「ごめん、ごめん。さ、急いで食べよう? 俺のうどんが伸びてきてるし!」
「俺は定食Bだから、伸びない。」
「え、ひどい! ひどいよ真澄!」
「ばっ馬鹿か! 名前で呼ぶな!」
「もっとひどい!」
田辺は、どこかふざけてる時もあるし、ふわふわしている時もある。そしてひどく鈍感だ。俺たちが一緒に過ごす時間は増えてきてはいるものの、いつもこんな調子だ。恋人らしさの欠片もない。
ああ、イライラする!
鈍感なアンタを、恥ずかしさで赤面させてやりたい。
よし、次のリストの項目が決まった。
2.赤面させてやる
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