アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2.赤面させてやる
-
「とは決心したものの……どうしよう。方法が思い浮かばない。」
食堂から二人急いで帰って、田辺はバイト先へと行ってしまった。俺は自分の部屋で、リストに二つ目の項目を書いてため息をついていた。椅子の背もたれにもたれかかって、後ろに体重をかける。プランと頭を後ろにやれば、見えてくる逆さまの世界。
赤面って、そもそもどんなときになる?
照れているとき、恥ずかしいとき、ドキドキしているとき……
なんだか、考えているこっちが恥ずかしくなってきた。
「はあ。」
血が登りそうだったので、勢いよく頭をもとの位置に戻す。
ギシッと椅子が音を立てた。
「あ!」
椅子の反動で一瞬だけ何かが頭の中で見えた。
俺には、妹がいる。高校生の、妹がいる。俺が実家に帰ると、いつも少女漫画を読んでいる。
「おいおい、そんなキラキラした眩しい漫画のどこがいいんだよ。漫画って言ったら、アクションとかあって格好良い感じのがいいだろ。」
「お兄ちゃんは何にもわかってない! このキラキラした世界がいいんじゃない!」
毎回そんな会話になる。俺も、暇なときに妹がリビングに置きっぱなしにしている少女漫画を読んではいた。最初は絵だけで苦手だと思っていたが、中身を見る度に、その切なさやドキドキする感じの虜になった。いつの間にか、俺は妹の持っている漫画は全て読んでいた。
「確か、主人公がヒロインに顔を赤らめているシーンが多かった気がする。」
どんな時だ?
どんな時に主人公はヒロインに顔を赤らめていた?
必死で思い出してみる。
もや掛かった記憶から、うっすらと思い出されるシーン。
その一つ一つが浮かぶたびに手帳の新しいページにメモをする。
そうか、アイツを俺に惚れさせればいいのか。
少女漫画の記憶を頼りに、俺は作戦を練った。
バイト中のアイツは、今頃くしゃみをしているに違いな「へっぷしんっ!」いと思ったら、自分がくしゃみをしていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 40