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2.赤面させてやる―目覚めの朝―
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"じりりりりり”
けたたましく鳴る目覚まし時計。俺は意識を朦朧とさせながら、手をブンブンと振った。
あれ? いつものところに目覚まし時計がない……
次第に俺の手は、力尽きてしまう。
「ん……」
パサリとしたに手を落とせば、もしゃっとした感触がした。
あ、いけね。
ここ、田辺ん家だった。
体をベッドから起き上がろうとするも、田辺が上から乗っかっていて出来ない。かと言って、このまま耳障りな目覚まし時計の音を聴き続けるのは無理だ。
仕方がない。
懇親の力を振り絞って、体を動かす。
「うお。」
それに驚いた田辺が目を覚ました。
「やっと起きた。おい、目覚まし鳴ってるぞ。」
目をパチクリさせた田辺が、ハッと我に返って目覚まし時計を止める。
「ごめん。そのまま寝てたみたい。重くなかった?」
「重かった。」
「ごめん。」
「別に、謝んなよ。」
「……。あ!」
「何だよいきなり。」
「熱、下がったかな?」
一瞬だけ俺を見たあとにすぐさま体温計を差し出す田辺。俺はそれを受け取って熱を測る。
「真澄、食欲はある?」
「んー、ちょっとだけ。」
「じゃ、俺お粥作ってくる。」
「え、あ、ありがとう。」
俺のことを心配してくれていると感じると、嬉しくなってこそばゆい。田辺は、ニコッと微笑んだあとにキッチンへと向かった。俺は、その姿をぼうっと見ているだけだった。
そうだ。今日はまた新しい作戦に挑まなければならないんだった。田辺が赤面した姿をまだみていないのだから。しかし、一体どうすれば奴は赤面する? いつもだらしなくふにゃりと笑ってくることはあっても、頬を赤く染めることなんて見たことがないぞ。
「何悩んでんの?」
いつの間にかお粥を完成させていたらしい。田辺が、お盆に載せたお粥を持ってきていた。
「え、ああ。」
これは田辺には極秘だ。だから、適当な嘘がないかとそこらへんをキョロキョロと見渡してみる。だが、そう簡単には言い訳の材料が見当たらない。
「また何か企んでるの?」
ちょっと困ったように笑う田辺。
「企むって……」
「どうでもいいけど、昨日言ったこと忘れないで。」
お盆を抱えて俺の近くに腰を下ろす。そして、お粥をレンゲにすくってふうっと冷まし始める。
どうでもは良くねーよ、馬鹿。
俺はちょっとムッとしながら、田辺が「はい。」とレンゲを俺の方に向けて差し出してきたのに応える。ぱくっと食べれば、田辺はとても嬉しそうな表情をした。
何だろう、こういうのって……
「はずい……」
ポツリと俺が呟くと、田辺はふにゃりと笑ってまたお粥を冷まし始める。
じっとその姿を見つめていると、お粥を見つめていた田辺と目が合う。
「真澄。」
「何?」
「そんなにじっと見られると、照れる。」
「あ……」
照れながら俺の口にお粥を運ぶ田辺は、頬を赤らめていた。
照れて、いる?!
作戦なんか無かったのに、思いもよらぬところでリストの2が達成されてしまった。
「ははっ」
「え? どうしたの? 真澄?」
突然笑い出した俺をきょとんと見ている。
「アンタ、本当によくわかんね。」
俺は笑いながらそう言った。田辺は未だにこの状況をつかめていないようだが、「真澄が楽しいんなら、いいや。」と言って一緒に笑ってくれた。
2.赤面させてやる 達成。
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