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3.告白をする―火曜日―
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「おはよう。」
扉を開けると、田辺がいた。
「おはよう。」
胸が高鳴ったのを悟られないように、普通を装う。それでも、アンタはお見通しと言いたそうに微笑んでくる。
「あのさ。」
「何?」
「最近、俺のところまで迎えに来てくれてありがとう。」
そっとアンタの方を見上げれば、俺から目を反らせてポリポリと髪の毛を搔く仕草が見えた。
「どういたしまして。」
照れているのだろうか。
「あとさ、明日ってバイト入ってんの?」
「明日って……」
「水曜日。」
「ああ、なら夕方入ってるよ。」
「そう。」
「どうかした?」
「明日、どうせ22時までバイトだろ?」
「うん。さすがだね。」
「明日、夜迎えに来る。」
「え?」
「いいから。」
半ば強引に決めた。戸惑っていたアンタも、俺の方を見ると真剣な顔つきになる。
「分かった。明日、バイト終わったら店のそばで待ってる。」
「うん。」
「それとさ、真澄。」
「どうした?」
「今日は一緒に帰りたいな。」
横目でチラリと俺を見るアンタ。アンタからそう言われるのは珍しかった。火曜日の3限は、俺がゼミで終了時刻よりも大幅に遅れて終わることが多いので、田辺にはいつも先に帰ってもらっていた。
「いいけど、今日も伸びるかもしんねーし。大丈夫かよ。」
俺の横にいるアンタは、何故か切なそうに笑った。
どうして、そんな顔をする?
それからというもの、俺はアンタと会話ができなかった。
悲しい顔にさせている原因が分からない。もしかしたら……俺のせい?
俺のせいだとしたら、何がダメだった?
分からない。
とうとう、正門にたどり着いてしまった。
「じゃ、3限終わったら俺はここで待ってるから。」
そう言って、アンタは俺とは違う棟へと向かっていった。
「あつ、や……」
俺はただ、そこに立ってその後ろ姿をしばらく眺めていた。
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