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3.告白をする―火曜日3―
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「田辺! 痛い!」
今日は田辺の様子が変だ。現に今、無理やり俺は田辺の部屋に引きずり込まれている状態にある。いつもは、こんなんじゃない。いつもはもっと優しいのに、今日は怖い。
「田辺!」
再度訴え掛けるも、暗闇の中で田辺の目が鋭く光るだけだった。
怖い。
こいつ、誰だよ。
次第に震えだす手。
「淳也。俺は淳也。」
「え?」
ぼそりと突然言われ、聞き返してしまう。すると握られた手首が強い力で引っ張られて田辺の胸に体が倒れる。そのタイミングを見計らっていたかのように、すぐに田辺の両腕で強く抱きしめらる。
”バタン”
自動で閉まるドアが、音を立てた。
すぐそこにあるリビングの窓から漏れるカーテン越しの光のみになった。薄暗い田辺の部屋。音も何もない。あるのは痛いくらい腕で締め付けてくる田辺と、何もできないで立ちすくむ俺だけ。
「真澄。」
俺の耳元で、田辺が俺の名を呼んだ。
あまりにも苦しそうなアンタの声。顔を見たいけれど、強く抱きしめられているせいで見ることができないでいる。
「真澄……。」
歯を食いしばっている、そんな声が響く。
俺の肩は、湿り始める。
「あ、淳也……泣いて、るのか?」
戸惑いながらも、掠れた声でそう問いかけた。
「真澄、お願いだから……」
「え?」
泣いている。
嗚咽を混じらせながら俺をさらに強い力で抱きしめる。
「お願いだから……」
「何だよ。」
「お願いだから、離れていかないで。」
「は?」
俺は田辺から発せられた思いもよらぬ言葉に困惑した。
離れる?
何で?
どうして、そうなった?
何を言ってるんだ、コイツ……。
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