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3.告白をする―火曜日4―
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「ちょっと、待てよ。離れるって何だよ。」
俺は抱きしめられる痛みに耐えながら、そう問いかけた。すると、するりと抜けていく腕。俺は開放的になった体で一旦深呼吸をして田辺を見つめた。田辺は、涙を浮かべている。
「明日、俺を呼び出したのって、そういう事なんじゃないの?」
意味が分からない。
「そういう事って何だよ。」
「別れ話。」
「は?! 何でそんな話になんだよ。」
「だって、真澄ずっと何か悩んでる顔してただろ。」
「悩んでねーし。」
「悩んでたよ。俺といるときもそわそわしてる時があったし。真澄が熱出した時も俺のせいで不安な気持ちになってたって教えてくれたし。そうなると、必然的に別れ話になるのかなって。」
呆れた。
俺はため息を大きくついた。
「アンタ、馬鹿だろ?」
「え?」
「本当に鈍感で馬鹿!」
うろたえる田辺。
「アンタさ、これから別れたいって奴のために名前呼びしたり、傘持って行ったり、素直になって笑顔を見せたりすると思ってんの?」
まだポカンとしている顔を見て、ちょっと苛立つ。
「ああ、ムカついてきた!! アンタはそもそも俺の何を見てるわけ? 悩んでた? だとしたら、別れ話とかじゃねーよ!! 本当にアンタって馬鹿でムカつく!!」
キッと田辺の目を見れば、唖然とされる。
「あの、その。ごめん。」
「もしかしてさ。」
「何?」
「今日梅村を凝視した後にアンタが苛立ってたのって……」
「ごめん。嫉妬。」
「……。」
「どうした?」
「どうした? じゃねーよ!」
全くこれだからアンタは。
よくもそんな恥ずかしいことをどうどうと言えるもんだ。
「真澄。」
フッと笑いながら俺の方に迫る田辺。
「な、なんだよ。」
「顔真っ赤。」
「誰のせいだと思ってんだよ。」
「俺のせい、でしょ?」
そう言って、今度は優しく俺を抱きしめる。
ああ、コイツといると調子が狂う。
明日は、どんな告白でアンタの調子を狂わせてやろうか。
そして、アンタも照れればいい。恥ずかしがればいい。
それで、御愛顧になるはずだから。
俺は、抱きしめられながらも一言告げる。
「明日、忘れて一人で帰るんじゃねーぞ?」
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