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3.告白をする―水曜日2―
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「増村君ってさ、最近田辺と仲いいよね。」
突然そう言ってきたのは、田辺の友人だった。確かあの合コンの時(※君が好きとか言うから)にいた、名前は竹本とかいう奴だ。2限の授業が終わって一人食堂でご飯を食べていた。その時、竹本が俺の前にいきなり座ってきたのだ。
「そうだけど、それが何?」
俺は不機嫌だった。中々告白をするときの言葉が見つからない。それに、食堂のうどんが伸びていたのだ。苛立ちながらうどんをすすると、前からニヤリとした顔が「へえ。」といった。
何だよ。言いたいことがあんなら直接口で言えよ!
うどんをすすりながらチラリとそいつを睨む。
「田辺さ、最近俺と付き合いが悪いんだよね。」
「だから?」
「それとさ、俺と一緒にいるときも君のことばかり話す。」
「あっそ。」
「あと、ポロっと君のことを名前で呼ぶこともあるな。」
ニヤリ。その表情が俺の苛立ちをさらにひどくさせる。面倒なのはごめんだし、喧嘩もしたくはない。だけれども、今日の俺は機嫌がわるい。うどんを食うのをやめて、箸を置いた。
「あのさ。」
「どうした?増村君。」
「言いたいことあんなら、直接言ってくんない?」
近くにあった紙ナプキンで口を拭う。竹本を見れば、つまらなそうなものを見る目で俺を見ていた。
「言いたいこと、ねー。」
「無いのかよ?」
「んー、なきにもあらず。」
「は?」
相変わらず意味不明なことばかり言いやがる。
「実は俺、田辺のことが好きなんだよね。」
「は?」
「あ、もちろん恋愛においての”好き”だから。」
ニッコリと微笑んでくる竹本。俺はそいつの意図があまりわからなかった。だが、そんな俺に構わず竹本は話を続ける。
「そしてね、今日田辺がバイトだから大学に来ないのも知ってる。」
「あっそ。」
「んーそっけないねー。」
「別に。」
「今日、君とサシで話そうって決めてたんだ。」
「話すって?」
ふっと笑われる。
「ここまで話してわかんないか。鈍感だね。田辺も君も。」
そう言われて、俺はムッとした。
「俺は鈍感じゃない。」
「まあまあ、取り敢えず話を聞いて。
俺さ、中学の時からずっと田辺と仲がいいんだ。
最初は本当に友達としか思ってなかった。けれど、次第に好きになったんだ。一緒にいるのが楽しいと思ったし、ずっと一緒にいたいとも思った。
不意にアイツがおふざけで俺の肩に腕を回してくる時もあった。その時はドキドキした。恋してたんだ、いつの間にか。
アイツはよく見ると整った顔をしてるし、性格も優しいし、結構モテてたんだ。俺さ、アイツを好きになったのが初恋だった。それで、自分が同性しか好きになれないって分かった。でもアイツは違う。
だから、俺はアイツが素敵な恋愛を出来るように応援してやろうって思ってたんだ。大学に入ってもその気持ちは変わらなかった。そう、君という存在が現れるまでは。」
「俺?」
「そう。君。君はいつの間にか田辺と仲良くなっていて、アイツの特別な存在になっている。アイツ、お前のこと好きだぜ。」
「なっ「だから」」
「だから、俺、決めた。アイツも同性を好きになるんだったら、俺に振り向かせてやろうって。」
「え……。」
「つまり、言いたいのはこれだけ。
田辺を、諦めてくれない?」
は?
今、なんて?
田辺を、諦めろ?
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