アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
日常
-
今日は日曜日。バイトが入っていないという田辺からのメールに、俺はすぐアンタの部屋に向かった。
メールで会話するくらいなら、直接会って話せばいいじゃないか。
俺は、田辺の部屋の前で立ち止まる。深呼吸をしてインターフォンを人差し指で押した。
「はい。あ。」
すぐに出てきたアンタは、俺を見て目を大きく見開く。
「会いに、来た。」
俺がぼそりとアンタに告げると、ニッコリと微笑んで部屋に上げてくれる。
「どうしたの? 真澄。」
俺専用のマグカップに、お茶を入れて目の前に置いてくれる。アンタを目で追えば、色違いのマグカップを手にした状態で俺のすぐ横に座った。
「別に。ただ、来ただけ。」
「え?」
俺のそっけない言葉に、笑いながら答えるアンタ。
「メール、俺に寄越しただろ?」
「あ、うん。」
「暇って書いてあったし、メールするくらいなら直接会って話せば早いだろうが。」
マグカップを手に取る。俺のは黄色で、アンタのは水色。
「そうだね。気づかなかった。」
「どうだか。」
そう呟いた後にお茶を口に含んだ。アンタも、同じタイミングでお茶を飲んでいる。
「本当はさ。」
水色のマグカップが机に置かれた。上の方にある田辺の顔を見上げる。
「本当は、会いたかったんだ。」
「え?」
どんどん近づく顔。
俺は目を瞑って君を待つ。
ちゅっ
キスをされた。
額に。
「どうした? 真澄。拗ねた顔してる。」
「し、してねーよ。」
慌てて黄色いマグカップを机に置いた。だが、動揺してしまったせいでマグカップの机にあたる音がガタガタと、いびつになってしまう。
「ほら、してる。」
「してないし、顔近い!」
「なんで、拗ねてるの?」
それは、
アンタがキスしてくれるって思ったから。
無駄に期待ばかりさせやがって。
「馬鹿淳也。」
俺はアンタの方へ、体を預けた。
俺たちはあまりキスをしない。だから、不安。だから、もどかしい。
それでも、優しく微笑んで一緒にいてくれるコイツが好き。穏やかに、俺を見てくれるコイツが、好き。
だから、もう一度。期待を込めて待つ。
目をもう一度瞑れば……
ほら、ね?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 40