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日常 2
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―柿園君と竹本君の日常―
「柿園ー。」
「なんだよ、竹本。」
「恋がしたい。」
「は?」
「だから、恋がしたいんだよ。」
講義前5分俺は机に突っ伏しながら隣にいる柿園にだだをこねた。柿園は俺の言葉にパッと明るい表情をさせた。嫌な予感しかしない。
「じゃ、合コンだ!」
やっぱり。
俺は、柿園の単純な脳みそにため息をついた。
「どうした、竹本。ため息なんてついて! お前が好きそうなタイプの子がいる合コンをセッティングしてやっから、安心しろ!」
「お前って本当にバカだよな。」
合コンのことになると途端に楽しそうになる柿園。その姿を見ているのには飽きないが、合コンに行かされるのは嫌だ。
「え? 何? もしかして竹本、好きな子いるの?」
「は?」
ニタニタとした顔がこちらに近づいてくる。
ああ、ムカつく。
「いるよ。」
俺は苛立ちながらそう答えた。すると、よりニヤつく柿園の顔。
「お前なら大丈夫だろう。結構モテてるし。」
何故お前にそんなことを言われなきゃならない。本当に、お前って馬鹿。
「完全に、俺の片思いなんだよ。」
じろりと柿園を見る。「ふーん。」と、未だに何かに期待している顔を見せる。
「相手は?」
「相手?」
「そう、相手。」
「なんでそんなこと聞くんだよ。」
「次の合コンで「ああもう!」」
「お前はどんだけ合コン脳なんだよ。呆れることしかできねーよ! そんなんだから、俺も諦めしか出来ないんだ!」
「え?」
「あ……」
固まっている柿園と俺。その時タイミングよく授業開始のチャイムが鳴ったので、お互いにノートを開いて教授の方へと向く。
俺の好きな奴はどうしようもない馬鹿だ。
だから、諦めていたのに。
俺の友達が恋に浮かれているのを見てたら羨ましくなった。
もう一度チラリと隣にいるそいつを見た。柿園はさっきのことなんて聞いていなかったかのような顔で講義を受けている。
ああ、もう本当にお前には叶わない。
とんでもない馬鹿を、ずっと思い続けている。
恐らくこの恋はずっと片思い。
それでもいい、そう思っている俺も多分馬鹿。
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