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番外編 5 (バレンタインデー)
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玄関の扉を開ければ、ぜーはーと息を切らしている俺の恋人が目の前にいた。
「早かったな。」
玄関から中に入れながら俺がそう訊ねると、淳也が勢い良く俺を抱きしめる。
「よか、よかった!」
息を切らしながら幸せそうにいう淳也。俺は意味がわからなくてその場で固まってしまった。
「な、何が良かった! なんだよ。」
「いや、だって、あんなメール送られてたら、何かあったんじゃないかって心配で心配で。」
「あんなメールって……”バイトが終わったら淳也に会いたい”って書いただけだろ?」
「それだよ。普段真澄がそんなメールを俺がバイトしているときに送るなんてことないだろ?」
「え、まあ。……取り敢えず、離せよ。温かいお茶出してやっから。」
そう言うと、漸く俺の体から淳也は離れた。
「ほら。」
マグカップに入れたお茶を渡せば、すごく嬉しそうな顔をしてありがとうと言われた。
バカ野郎、不覚にもかっこいいとか思ったじゃねーか。
「それでさ、真澄。」
「な、なんだよ。」
「何かあった?」
「へ?」
「俺に、なんか用事があるんでしょ?」
なんでもお見通しみたいな面しやがって。
「まあな。」
恥ずかくて俯きながら答えていると、フッと笑い声が聞こえた。
「まあ、真澄から連絡がなくても俺はバイトのあと真澄の部屋に来ようとは思ってたけどね。」
全く、恥ずかしいやつだ。それでも、こいつは俺が惚れた男。チラリと盗み見たつもりだったが、バッチリ目が合ってしまう。観念した俺は例の話題を持ちかけた。
「あのさ、もうすぐ2月だろ?」
「? うん。そうだね。」
「お前はさ、2月って聞いて何か俺に要望とかあったりする?」
「要望?……じゃ、節分の日は俺と一緒に恵方巻きを作って、食べて、豆まきをしよっか。」
ズッコケそうになった。
こいつ、2月=節分と考えてやがった。どうやら、こいつの抜け具合を甘く見ていたようだ。
「それも、いいけどさ。……ほら、もう一個イベント残ってんだろ?」
淳也は、俺の問いに深く考え込み始めた。
ずっと、うんうん唸っている。
あーもう!こいつに聞こうとか考えていた俺がバカだった!
これ以上聞くのもなんだかバカらしく感じた俺は呆れた溜息とともに、バレンタインは手作りチョコを作ることに決めたのだった。
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