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1.人を好きになる基準-4
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男が単純な人間で良かった。
もっとタチが悪い輩だったら、こんな風に簡単には返してはくれなかっただろう。
「はー……疲れた……」
三善は、怠い身体をゆっくりと起こし、備え付けられたコンパクト型の冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。
そして、ぐびっと一口口に含み、後はゴクゴクッと一気に飲み干した。
「ぷはぁー……」
飲み終え、自分は喉が渇いていたのだと知る。
「シャワー…浴びようかな……」
チェックアウトは何時だろうか。
ここは何処だろうか。
そう思い、辺りを見渡す。
でも、時間は何処にも書いていなくて、ただ分かった事は、ここがラブホテルでは無く、普通のビジネスホテルだという事だけだった。
たぶん、ここのホテルの大広間で昨日した打ち上げが行われていたのだと思う。
内装に何処か見覚えがあった。
それが分かり、ならもう少し長くいても良いかと思った三善は、時間など気にせず、ここで少しだけゆっくりする事に決める。
三善はゆっくり立ち上がり、全裸の身体を労わりながらゆっくりバスルームへと向かった。
そして、そのままシャワーを浴びる。
「疲れた……」
色々と。
そう三善は呟いた。
夢見は悪いし、起き抜けも悪い。
悪い事の連続だ。
「はぁ…学習しないな……本当……」
何度繰り返しただろうか、こんな事。
でも、いつもはこんな打ち上げで泥酔して誰かを誘うヘマはして来なかった。
いつもは、相手の話しを良く聞き、ちゃんと自分で判断してから誘う。
それが三善の中での決まり事だった。
こんな仕事(スタイリスト)をしているせいか、誘いはたくさんある。
それに、ゲイである事もカミングアウトしているので、そう言った類の人間からの誘いは1日に何度もある。
だから、ちゃんと自分の判断で行動しなければおかしな事になる可能性が高い。
カミングアウトしているからこそ、リスクがある。
だから、自分の意思や行動には慎重にならなくてはならない。
「分かってるのに…これかよ……」
分かってる。ちゃんと、分かってはいる。
なのに、あんな男を誘ってしまった。
そんな自分に自己嫌悪してしまう。
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