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2.偽りの口調、偽りの笑み-5
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それを受け取った夏は、ジッと真面目にその名刺を見詰めていた。
それはまるで、名刺に穴が空くのではと思えるほどだった。
「お、俺……生まれて初めて見ました」
「ん? 何を?」
そして、名刺から視線を上げて三善を見詰め、こう言う。
「こんなに綺麗な男の人をです」
その顔は真剣で、嘘、偽りの無い物だと、その声、その顔、その熱い視線で分かった。
この男は本当にそう思っている。
それが伝わる。
だから、怖くなる。
「あ…ありがとう……。嬉しいわ」
何故だろう。
こんなにも胸が騒つくのは。
三善はそんな自分から目を逸らすため、偽りの口調と笑みで夏にそう伝えた。
「いやー、俺マジついてますね。こんな美人なスタイリストの人と一緒に仕事できるんだから。この仕事断らなくて良かったー」
けれど、夏には何も伝わっていなくて、一人、そう言いながらガッツポーズをしていた。
本当に嬉しそうだ。
子供のようにはしゃいでいる。
「じ、じゃぁ……指定された衣装、合わせてみるから服脱いで」
「はーい」
夏はいい返事を返し、その場で着ている服を大雑把に脱ぎ出した。
普通、カーテンに隠れて脱ぐのだが、夏はそこを使わずに、野生的に恥ずかし気も無く脱ぎ出して、こっちが気を使うはめになった。
相手はアイドル。
そこを忘れてはいけない。
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