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2.偽りの口調、偽りの笑み-8
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「そうなんだ。衣装とかで着たりもないの?」
「ないっすね。コンサートの時とか俺達の衣装って結構派手目なんで、こういったシックな物は着ないんで」
「確かにそうだね。秋幸ちゃんから前に写真見せて貰ったけど、これがアイドルッて感じの衣装だった」
前に、仕事が一緒だった三善は、秋幸に写真を見せて貰った事があった。
その写真は、コンサートの後の写真で、四人が纏まっている写真だった。
それを見て、若いなっと感じた事を思い出す。
「そうですよ。それに、俺の場合は、スーツよりジャージが多いんで、こういうのは担当じゃないんです。でも、せっかく来たオファーだから引き受けろって……社長に言われて」
「あぁ、中本社長」
中本社長はこの業界で有名な女性だった。
三善も若い頃は何度か一緒の仕事をして、その美しさに手が震えた。
けれど、突然の女優業を引退し、長年の夢だった事務所を立ち上げ、あっという間にスーパーアイドルを手掛け、今ではこの業界で一目置かれた人となった。
性格は、その見た目から似合わず強気な所があり、何度か秋幸を叱咤している所を見た事があった。
でも、それは全て秋幸に期待をしているからで、その全てに悪意は感じられず、ただ、大きな愛だけは感じた。
それはまるで、母親のような感じで、温かく見守っている風にも見えた。
だからこそ、中本事務所はすぐに有名になったのだと言える。
「最初、嫌だったんですよ……俺ドラマとかやった事ないし……バラエティーの方が合ってるから」
「うーん。確かに、バラエティーの匂いが漂ってるね」
「でしょ! 俺、笑いとか好きだし、頭悪いからセリフとか覚えらんないんですよ……それに……」
「それに?」
夏は一瞬、言葉を詰むんだ。
それが何故か、三善は気になった。
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