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2.偽りの口調、偽りの笑み-14
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三善は何を聞かれるのか身構えた。
だって、夏は三善とは全く別の世界の人間だ。
純粋な人間と不純な人間。
そんな言葉が似合う二人。だからこそ、自分の考えが、返答が、ちゃんと当たっているか怖くなった。
夏には、こんな汚れきった自分を知って欲しくはない。
「三善さんって、おネェなんすか?」
「え……?」
突然の質問に三善は驚く。
初めて、そんな事を聞かれたからだ。
「な、なんで…そんな事聞くの……?」
三善の口調を聞いてそう聞いて来たのだと思うが、改まってそう聞いてくる人は今までにいない。
皆、三善が理想とする形に解釈するからだ。
(と言うか……夏君僕がゲイなの知らないのか……?)
この業界で三善がゲイである事を知っているのは当たり前になっていて、まさか、未だ知らない人間がいた事に驚いた。
秋幸から聞いているとばかり思っていた三善は、返答に困る。
自分からゲイである事をカミングアウトして、夏はどう反応するだろうか。
それが、怖かった。
「いや、口調がそうかなって思ったんですけど、なんか違うかなって」
「え……?」
「俺の親戚におネェの人がいて、でも、三善さんはその人と同じ匂いはしないなって思って。なんか、三善さんの場合、無理して作ってる気がして……」
その言葉に、驚きと共に、なぜか泣きそうになる。
まさか、気付く人間がいるなんて。
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