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2.偽りの口調、偽りの笑み-17
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そうなるのは知っていた。
そうなる事を選んで言った。
なのに何故だろう、胸が痛い。
「って事は……恋人も男の人なんですか?」
「恋人? そんなのいないけど……でもそうだね、付き合う人は男になるね」
今まで真っ当な恋愛はした事がない。
ただ、基準を満たせば身体を繋げ、心を通わす事はせず、性欲だけを満たしてきた。
それが三善にとって、とても心地良かった。
いや、そうしなければならなかった。
だって、愛されると言う事がどんな物なのか知らない。
この世に生を受け、一度も愛を受けた事がない三善は、今まで誰かの一番になる事がなかった。
だから、全てに抵抗があり、誰かを愛している人間に魅力を感じた。
こんなにも誰かを愛せるなんて、と、尊敬もした。
「それはつまり、恋愛対象が男って事っすよね……?」
「……そうだよ」
「まじっすか……」
夏はそう言うと、顔を真っ赤に染めた。
その急変した夏を見て、三善は慌ててしまう。
もしかしたら、三善のその話しを聞いて気分でも悪くしたのかと思った。
「なっ、夏君どうしたの? 風邪? 気分でも……」
「いや、違っ、違いますッ!」
「え……」
「そうじゃなくて……」
夏が急に立ち上がった。
そして、ゆっくりと三善に近付いてくる。
「夏く……」
そして、手が届く位置まで距離が縮まり、三善は心音を速くした。
(な、なんだろう……。この空気……)
夏の顔を見る事ができない。
顔を上げれば直ぐに見る事ができるのに、それができない。
「どうし……」
夏から放たれるさっきとは違った空気。
それが分かる。
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