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4.壁ドンからの優しいキス-3
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夏の不安そうな顔。
それに、本当に帰りたいと思っているのが伝わる。
だからか、ほっとけない。
「ねぇ、手出して」
「え……?」
そんな夏に、三善はある物をあげた。
それは檸檬味の飴玉だった。
「飴……?」
「そう、飴玉。これね、僕のお気に入りの飴なんだ。美味しいんだよ、舐めてみて」
そう進めると、夏はすぐにその飴の封を開け、ひょいっと口に入れた。
すると、夏は笑みをこぼした。
「おっ、美味いっすねこの飴! 酸っぱすぎなくて、周りにコーティングされた砂糖が良い感じにマッチしてますッ!」
「でしょ、良かった口に合って」
夏の口に飴の味が合ったようでほっとした。
この飴はよく三善が舐めている飴で、嫌な事や疲れた時によく舐めている物だった。
この頃は舐める回数が多くて、常にポケットの中に忍ばせていた。
「これで、撮影もバッチリだよ」
「え……あ…そうっすね……」
でも、夏は三善のその言葉に笑みを無くす。
なにか地雷を踏んだのだろうか。
(そんなに…今日の撮影嫌なのかな……)
そうな思った三善は、今日撮るシーンが何かを想像した。
そして、気付く。
「ねぇ、もしかして今日撮るシーンってキスシーン?」
「ゔっ……」
夏のその反応に、三善は確信を得た。
だから、夏はこんなにも今日が嫌なのだと。
「そっか、キスシーンか……」
ファーストキスは、好きな人としたいと言っていた夏。
その時の話しが頭を埋める。
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