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4.壁ドンからの優しいキス-6
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目を瞑ると、夏の唇の感触が全身で伝わる。
痺れるような、麻痺するような。言葉では言い表せない感覚が身体全体を包んだ。
「みよ…し……さん……」
「っん……」
唇が離れ、荒い息が部屋を埋める。
それは、お互いキスに夢中で、息をするのを忘れていたからだった。
三善は唇を離されると直ぐに自身の指で唇をなぞり、その感触がまだ残る事に心音を速くする。
「三善さん…俺…俺……」
夏が何かを言おうとする。
その言葉が瞬時に分かった。
高揚する頬、こっちを見詰める視線の熱さ。
それら全てが表している。
だから、三善は言わせないよう努めた。
「も、もー。こんな子供のキスで本番は乗り切れないよ」
「み…三善さん……?」
一呼吸置き、いつもの自分を思い出す。
自分は、もっと器用にできる人間だ。そう強く思いながら、三善は無理に笑みを作る。
「キスって言うのはね、もっと……」
「みよッ……ンンンッ」
三善は目を瞑ると、夏の両頬を両手で優しく包み、背伸びをして自身の唇を充がった。
そして、驚いた夏が口を開けるのを見計らい、自身の舌を捩込む。
「ちゅ…んっ……ちぅ……」
夏は目を大きく開け、こっちを見ていた。
その視線が目を瞑っているのに分かり、痛い。
でも、止められなかった。
だって、これが最初で最後だ。
自分には夏のような男は合わない。
この男は、遊びで付き合えるような男ではない。
三善は自身の心の中で自己完結したのだった。
(なんでだろう…さっきのキスの方が泣ける……)
そして、今のキスとさっきのキスを比べてみる。
こんなにも深いキスなのに、何故だろうか、心が満たされない。
気持ち良くもない。嬉しくもない。
唇と唇を合わせただけのキスは、もっと、もっと何かが満たされた。
それが何か分からない。
「みよ…ンッ…しさ……ッちゅ……」
夏がキスの間に三善の名前を呼ぶ。
でも、三善は離さない。
まだ、この時を味わいたい。
そう思っていた。
三善は、夏を呼びに来たスタッフがドアを叩くまでずっと、夏にキスをし続けたのだった。
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