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5.自己嫌悪と反省-3
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そんな時、誰か分からないけれど三善の左肩を叩く人間がいた。
三善は酔いながら、ゆっくりと叩かれた肩の方向に顔を向ける。
「よぉ、久しぶり」
「……ども」
男は三善の事を知っている感じでいたが、三善の方はその男の顔を覚えていなくて、軽く会釈だけを返した。
けれど、その男は強引にも隣の席に座りだし、カクテルを頼み始める。
「はは、俺の事、誰だって顔してるな。まぁ、1年前辺りだから仕方ないか」
「……すみません」
男は仕事帰りなのかスーツを着ていて、少しだけ窶れて見えた。
年齢は三善よりも年上で、三十代後半。
言葉のフランクさから、前に身体を重ねた男の一人なのだと、三善は気付く。
「まぁ、あの時は俺も色々悩んでた時期だったからな。君に会えたらお礼を述べたいと思っていたんだ……」
「え…? お礼……?」
お礼と男は言うが、お礼を言われる覚えはない。
だってこの人も、ただ、身体だけを交わしただけだ。
それ以上、それ以下もない。
「あぁ。……君と身体を交わして、初めて男を抱いた。そして、抱いた後に思ったんだ……やっぱり、好きな奴を抱きたいって」
「え……?」
男はそう言うと、スマホを取り出して一枚の写真を見せて来た。
それは、楽しそうに写るその男と、顔を真っ赤に染めて写る一見チャラそうな男の二人が写っていて、見る限り、恋人同士の写真だった。
それを見て、上手くいったのだと知る。
「前にも話したが、俺は自分がゲイだって事を認める勇気がなくて、告白された女とばかり付き合ってた。そこには愛は無くて、ただ、ずっと昔から隣にいるアイツの事以外頭には無かった……。でもそれが、恋だなんて思いたく無くて……そんな時、君が話し掛けてくれたんだ」
「あ……」
そう言えば。
と、三善は思った。
ここに来て何回かした日、カウンターに一人座る男がいたなと思い出す。
そして、その男がなんだか辛そうな顔をしていたから、もしかしたら、まだ自身の性に付いて悩んでいるのではと気付いた。
三善はそれが少しだけ放ってはおけなくて、男の話しを聞く事にした。
そして、男の話しを聞き、それは恋だと教えてあげた。
男はまだ、一歩踏み出せない顔をするので、では自分と寝てみるかと提案すると、男は驚きながらも三善をホテルへと連れて行った。
「あの時は、男とのセックスに悪戦苦闘した。でも、君は慣れているようだったから、リードして貰えて気持ちが良い行為ができた。だからこそかな……その後、俺は自分自身の想いに素直になれた」
「え……?」
男はそう言うと、クスッとはにかむ。
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