アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7.味わった事のない感情-1
-
誰かを想い、こんなにも泣きたくなるのは初めてだ。
それも、二十四時間、いや、それ以上長く続く事も初めてだ。
忘れたい、忘れなきゃいけない。
そう強く思うのに、唇に感じる感触や、あのキスをしているシーンが頭から離れない。
「三善さん、この4種類の衣装ってこっちに並べて良いですか?」
「あ、うん。ありがとう、そこで良いよ」
けれど、私情は仕事に挟んではいけない。
自分の与えられた仕事を確実に、正確に熟さなければならない。
それが、大人と言う物だ。
「今日の仕事って、あの売り出し中のアイドルグループのロケですよね。俺、こういった大きな仕事に携わるの初めてでドキドキしてます!」
新人なのだろうその男性スタッフは、控え室の中で一人興奮した顔を見せていた。
確かに、今回のロケは大企画だ。
ゴールデン枠の2時間物で、その中の企画が今日撮影されるロケだった。
「確かに、大きな仕事だね。僕も力入るな」
なんて言っているが、内心ではそう思う余裕はない。
だって、その売り出し中のアイドルグループと言うのは、夏と壱成がいるグループだったからだ。
Richのメンバーが四人揃った仕事は前にもあった。けれど、その時は女装した方の衣装を担当していたので、秋幸と春羽との関わりはあったが、夏や壱成と関わる事は無かった。
けれど、今回はそうではない。
四人全員の衣装を担当する事になったから、関わらない事は絶対にない。
だから、今日はあまり会いたくない二人と同時に会う事になるのだ。
(胃が痛い……)
朝から感じる胃の痛みはストレスだと気付いている。
それは、夏に対してなのか、壱成に対してなのかは分からない。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
55 / 192