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7.味わった事のない感情-6
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三善は、夏の高めにある二の腕にピタッと自身の肩を付け、距離を縮めた。
その方が壱成に聞かれないと思ったからだ。
「みっ、三善さ……」
そんな三善の行動に、夏は勝手に勘違いしたらしく、顔を真っ赤に染め始める。
「馬鹿、勝手に勘違いするな。そうじゃなくて、僕は壱成君には何も言っちゃ駄目って言いたいの」
三善はコソコソっと小声で夏にそう告げた。
壱成をチラッと見ると、こっちを気にせず、備え付けのテレビを点けて芸能番組を見ていた。
その姿にホッとし、三善は続ける。
「壱成君だけじゃなくて、皆にもだよ。キスした事は誰にも内緒」
「なんでですか?」
「な、なんでって……」
〝なんで〟なんて言葉が出るとは思いもしなかった三善は、考える。
(ふ、普通は隠したい話しだよな……?)
普通ならこんな話し、周りに普通に話せる話しではないし、話そうとも思わないだろうと思う。
それは、夏が芸能人だからそうとかではなく、一般的にもそう思うはずだと三善には思った。
なのに、夏はそれがなぜ言っては駄目なのかと聞いてくる。
「俺、三善さんの事好きな事隠したくないっす。……初めてのキスも二回目のキスも……俺の身勝手だったかもしれないけど……。でも俺は、できて嬉しかった」
「でも……」
嬉しかったと夏が言った。
三善とキスができて嬉しかったと言った。
その言葉に、三善は心がきゅっと熱くなった。
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