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8.切なくて痛くて、嬉しくて-6
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「三善さん……?」
何も知らず、夏はキョトンッと三善を見詰めてくる。
その視線が心に刺さり、酷く痛む。
「本当、君って馬鹿だね……」
馬鹿。
大馬鹿物だ。
こんな、男(三善)を好きだと言うなんて。
優しくするなんて。
だから、こんなにも胸が苦しい。
全て、お前のせいだ。
「僕と君とは違うんだ。君みたいに、純粋で…真っ白じゃない……」
美味しいケチャップライスを作った事も、食べさせて貰った事もない。
作ろうとも思った事さえない。
だって、そんな風に思えるほど、人から愛された事がない。
「僕は黒い……。汚れきってる……。もう何色にも染める事ができないくらい……僕は真っ黒な人間だ……」
純真無垢で何も知らない真っ白な夏。
寝た数なんて数えきれなくて、その相手の顔さえも覚えていないほど汚れきった真っ黒な自分。
白の絵具を黒の絵具に混ぜたら。その結果は考えなくても分かる。
(この子は……黒に染まっては駄目だ……)
白のまま、ずっと白のままでいなければならないんだ。
「セックスした相手なんて数えきれないし、その相手の顔も覚えてない。気になった相手だったら誰でもいいし、気持ち良ければそれでいいっ……」
「三善さん……」
「僕ね、兄弟に抱かれた事もあるんだよ」
「え……?」
三善は、今まで誰にも言った事がないあの出来事を夏に話した。
「片方しか血が繋がってない兄二人に……無理矢理抱かれたんだ……」
この話しをすると、身体が震える。
そして、あの時の、あの二人の目つきや興奮した息遣いが蘇る。
「三善さん……」
「でも、そのおかげで分かったんだ……。自分を求めて来る男より、誰かに恋をしている人の方が素敵だって」
皆、三善を抱きながらも、頭の中では三善ではなく、自分の想い人を抱いていた。
その抱き方は人それぞれだったけれど、でも、どの抱き方も愛を感じた。
好きで、でも叶わなくて、言えなくて。
そんな複雑な想いをぶつけるように、三善を代わりに抱いた。
でも、それを苦だとは思った事は1度もない。
その想いが強ければ強いほど、魅力に感じる。
「だから、壱成ともしたんですか?」
「え……?」
突然、夏がそう言った。
その言葉に、三善は誰もが分かるくらいの動揺を見せてしまう。
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